「介護職辞めてよかった」と思えた理由とは|悩んでいる人の転職方法

「介護職を辞めるか迷っている」

「介護職を辞めてよかったと感じている人はどれくらいいるの?」

介護職を辞めるにあたり、経験者の意見を参考にしたいと考える人も多くいるのではないでしょうか?

結論からお伝えすると、「介護職を辞めてよかった」と思えている人はたくさんいます。辞めてよかったと思えている理由には以下のようなメリットが生まれたためです。

「介護職辞めてよかった」と思えた理由とは?

  • 見合わない賃金に対する不満を感じなくなった
  • ストレスの要因になる人間関係を断ち切ることができた
  • 身体的な負担がなくなった
  • 自分の時間を楽しめる余裕ができた

もしも辞めることで現在抱えている苦痛やストレスから解放されるのであれば、きっとあなたも介護職を辞めることでメリットを得られるでしょう。

しかし、転職をするということは重大な決断をすることになります。単に今抱えている苦痛やストレスから逃げることを目的とするのではなく、自身が仕事に求めている環境やキャリアプランを今一度見つめ直して冷静に判断することが大切です。

この記事を読むことで転職するべきかを冷静に考えることができ、どのような判断をするべきかが見えるようになってくるはずです。理想とする働き方を叶えるためにもぜひ参考にしてください。

1.「介護職辞めてよかった」と思えた理由とは?

介護職を辞めた経験のある人を対象にしたアンケート調査によると、介護職を辞めたきっかけは以下のような内容であることが分かりました。

「介護職から転職したきっかけ」のアンケート調査

参考)株式会社コーディアリティケア「介護のお仕事に関するアンケート調査」

このようなきっかけから転職した人が感じる「辞めてよかった」理由はどのようなものがあるでしょうか。代表的な理由を4つご紹介します。

1-1.見合わない賃金に対する不満を感じなくなった

さまざまなアンケート調査やSNSなどの声を確認すると、『見合わない賃金に対する不満を感じなくなった』ことから「辞めてよかった」と感じることが多いようです。

というのも、アンケート調査からも分かるとおり、介護職に勤めている人は給与に対する不満を持って辞める人が多いからです。

勤務先や人にもよりますが、賃金が見合わないと感じる要因には、客観的な評価制度を取り入れている施設は少なく、勤続年数など不公平な評価になっている傾向にあり、個々の能力が評価されづらい風潮も介護現場にはあります。

いつまでも働きぶりが評価されなかったり、見合わないと感じる給与で働き続けることは不満がつのっていく十分な理由になるでしょう。

このような環境の職場を辞めることで見合わない賃金で働くことを解消できるため、賃金に対する不満を感じなくなるというメリットが生まれます。

1-2.ストレスの要因になる人間関係を断ち切ることができた

ストレスの要因になっていた人間関係から断ち切ることができることも「介護職を辞めてよかった」と感じる理由の1つです。

というのも、介護職として働くと、他の介護職員、施設長、看護師、施設利用者、利用者の親族など多くの人と関わりながら働くようになることから、介護現場での人間関係に大きなストレスを感じている人も少なくはありません

  • 助け合って仕事をしていくはずの介護職員同士でいじめや派閥が生じたり
  • 看護師の傲慢な態度にストレスを感じたり
  • 認知症の利用者による暴言や暴力があったり
  • 利用者の家族に陰口を言われる

辞めることでストレスの要因となる人間関係をさっぱり断ち切ることができることは、介護職を辞めることで得られるメリットであると言えるでしょう。

1-3.身体的な負担がなくなった

身体的な負担がなくなることも「介護職を辞めてよかった」と感じる代表的な理由です。

なぜなら、介護職は数十kgもある利用者の身体を持ち上げたり、身体を支えたりして利用者の身の回りの生活を補助することが仕事です。このような重労働を日常的にこなす必要があるため、介護職では辛い腰痛を抱えながら仕事をしている人も多くいます。

また、介護職は深刻な人材不足が社会問題となるほど多くの施設で人手不足の課題を抱えています。宿泊タイプの施設は24時間365日対応が求められるため、現場で働く人は不規則なシフトや、長時間労働をこなして働かなければならず、過労による体調不良に陥ってしまうこともあります。

業務でどうしても生じる重労働や、人材不足による労働環境の悪化によって身体的な負担を感じている場合、辞めることで身体的な負担を解消することができます

1-4.自分の時間を楽しめる余裕ができた

休日や勤務後などプライベートな時間も楽しむことができるようになることも「辞めてよかった」と感じる理由になるようです。

介護職は不規則なシフトで働かなければいけなかったり、土日や祝日など世間が休日の日に休みが得られない労働環境です。連休もまともに取れず、長時間勤務をこなすような日常になることも珍しい話ではありません。

さらに、人間関係のストレスや重労働による身体的な負担が生じやすい介護現場では、「休みの日を身体の回復に専念しなければ働くこともままならない」という方も多く、仕事のために休みの日の行動を制限していたという体験談も数多く見受けられました。

介護職を辞めることによってストレスや身体的な負担、不規則なシフトから解放され、自分の時間を満喫できるようになるという点も、メリットとして感じる要因になっています。

2.介護職を辞めるか迷ったときの後悔しない判断方法

1章では「介護職を辞めてよかった」と感じた理由について紹介しましたが、「介護職を辞めてよかった」という気持ちは、その後の転職に成功して自身の理想としている働き方が叶ったときに感じられるものです。

そのため、勢いで辞めることを判断するのではなく、慎重に考えて深く納得してから行動を起こすことが「介護職を辞めてよかった」と感じるための第一歩になると言えるでしょう。

ここでは、介護職を辞めるか迷っているときに考えたい2つの方法について解説します。

  • 辞めたいのは「介護職」なのか「職場」なのかを考える
  • 将来のキャリアビジョンをもう一度考える

2-1.辞めたいのは「介護職」なのか「職場」なのかを考える

後悔しない1つ目の方法は、辞めたいのは「介護職」なのか「職場」なのかを明確にすることです。

なぜなら、せっかく介護職という仕事に魅力を感じているにも関わらず、働く環境が原因で介護職から離れてしまってはスキルも実績も失うことになってしまうからです。

満足度の高い働き方を実現するためにも、まず「辞めたい」と思っているのは介護職そのものなのか、それとも職場である施設を辞めたいのかを考え明確にしていきましょう。

「どっちなのか判断できない」という方は、以下のケースを参考にして判断をしてみてください。

2-1-1.介護職を辞めた方がいいケース

介護職を辞めた方がいいケースは、主に以下の2点があげられます。

▶働くモチベーションがない

そもそも介護職に魅力を感じず、やりがいを感じたり、モチベーションが向上しなければ介護職で働き続けることは難しいでしょう。

なぜなら、働くモチベーションよりも精神的・身体的な負担の方が上回っているのであれば、施設を変えても働くことに対して苦痛を感じ続けてしまうようになるからです。

ちなみに現役で働く介護職の方に『働くモチベーション』を伺ったアンケート調査では以下のようなポイントに働くモチベーションを感じているという調査結果が出ています。



介護士として働くモチベーション

  • 1位 利用者から感謝の言葉や笑顔(52.8%)
  • 2位 職場の良好な人間関係(25.3%)
  • 3位 仕事のやりがい(23.5%)
  • 4位 給与(18.6%)
  • 5位 社会や人の役に立てること(16.3%)

参考)きらケア介護白書『2021年 介護士調査』

介護職は大変な面もあるからこそ、感謝の言葉をもらえたり、役に立っている実感を得られたとき、何よりも仕事のモチベーションにつながるという方が多いようです。

『介護職を通じて喜びを感じる瞬間があるか』に注目して、自分が介護職に適しているのか見つめ直してみてはいかがでしょうか。

▶身体的な問題を抱えている

腰痛など身体的な面で問題を抱えている場合は、介護職から離れることを検討してみてはいかがでしょうか。

なぜなら介護職は腰痛を引き起こす動作が多く、働いている限り腰痛が治ることは難しいからです。

特に介護職は腰痛による業務上疾病が多く、年々増加傾向にあります。厚生労働省も発生率の高さを問題視しているほどです。

腰痛の予防対策として、以下のような対策が推奨されていますが、忙しい介護現場では十分な予防対策を取る余裕はないかもしれません。

  • 長時間立ちっぱなしにならないようにする
  • 利用者が必要としているときにだけ介助するようにする
  • エクササイズを習慣にする

腰痛が悪化すると慢性的に傷みを感じたり、傷みから身体を動かせなくなったり、身体が不自由になることから精神的ストレスを感じたりと、心身の健康バランスが崩れる原因にもなり得ます

何事も身体が資本です。身体を壊して動けなくなってしまうことを防ぐためにも無理はしないようにしましょう。

2-1-2.職場を辞めた方がいいケース

介護職そのものにやりがいを感じている場合、働く施設を変えることで現在抱えているストレスから解放され、満足度の高い働き方が実現する場合もあります。

以下のような労働環境になっていないか、改めて自身の働く労働環境を考えてみましょう。

▶労働基準法に違反した働き方を強いられている

労働基準法に違反するような過酷な働き方を強いられている場合には、施設を変えることで改善される場合があります。

そもそも労働基準法とは労働者を保護するための法律のことを指します。

毎週最低1回もしくは月4回の休日を与えなければいけないという法定休日が定められていたり、残業や深夜労働、休日労働をした労働者には割増賃金の支払いをしなければいけないなど、労働者を守るための法律です。

同じ介護施設でも、労働者を保護し、尊重している施設も多くあります。そのため、違反した働き方になっている場合は施設を変えることでストレスから解放されることが期待できます

▶いじめやパワハラを受けている

施設内でいじめやパワハラを受けている場合は施設を変えることでストレスの原因を断ち切ることができます。

介護現場は精神的にも身体的にも負担を感じやすく、ストレスがたまりやすい職業であることから、ささいなことがきっかけでいじめやパワハラに発展しやすくなる傾向にあります。いじめやパワハラが常態化してしまっている場合もあるようです。

しかし、施設によっては、施設長の管理が行き届いていたり、チームワークを尊重し合うスタッフが働いていたりすることで良好な人間関係を築けている職場もあります

『介護職=人間関係に我慢しなくてはいけない』わけではありません。ストレスを常に抱えていると心身が病んでしまう原因にもなるので、自分に合った職場を探すことが自分の健康を守ることにつながる場合もあります。

2-2.将来のキャリアビジョンをもう一度考える

介護職を辞めるか迷ったときの判断方法2つ目は、改めて“自分のキャリアビジョン”をもう1度考えてみることです。

なぜなら、介護職で働いてきたあなたには、これまでの実務で得たスキルで可能なキャリアアップがあるからです。

これまでの経験を今後どのように活かしていきたいかを改めて考えることで、理想とするキャリアが見えてくる場合もあるでしょう。

介護職のキャリアを活かした働き方は以下4つの方法があります。

  • 施設内でキャリアアップを目指す
  • 専門性を高めて介護職のエキスパートとして働く
  • 介護職の知識を活かして異職種で介護をサポートする
  • 介護職で培った強みを活かして異業種で働く

「今後どんなキャリアを歩みたいか分からない」という方は、こちらを参考にして考えてみてください。それぞれ4つの方法について解説いたします。

2-2-1.施設内でキャリアアップを目指す

1つ目は施設内でキャリアアップを目指す方法です。

介護職として介護サービスを提供していきながら、働いている施設の主任や施設長になるというキャリアアップを目指すことが可能です。

主任や施設長などの管理職になると、施設の運営や職員の労働管理、教育、収支管理、広報など、施設全体のマネジメントを行うことが求められます。

利用者に対するサービス提供だけでなく、施設で働く職員の労働管理も行いながら、より働きやすい労働環境を作っていくことも可能になります。介護サービスだけではない幅広いスキルを習得してキャリアを構築していくことが可能です。

2-2-2.専門性を高めて介護職のエキスパートとして働く

介護職で培った知識や経験をもとにして資格を取得すれば、より専門性が高い介護の専門家として働くことができます。

例えば、国家資格である『介護福祉士』を取得すると、利用者および家族に指導やアドバイスを行えるようになります。介護関連の資格では唯一の国家資格であるため、社会的な信頼性も高く、将来も安定した雇用が期待できるでしょう。

介護業界に特化して知識やスキルを高めていくことで、より幅広く専門性の高い業務も担えるようになり、ますますの活躍が期待できます

2-2-3.介護職の知識を活かして異職種で介護をサポートする

介護職で得たスキルや知識があれば、異職業であっても違った角度から高齢者の生活をサポートすることが可能です。

たとえば、ケアマネージャーや生活相談員などの仕事は、事業所と利用者の連携を図ったり、利用者の必要な介護サービスを提案したりする仕事です。実際に介護現場で働いていた経験を大いに活かせます。

また、施設や行政機関、医療機関などで働くソーシャルワーカーも介護職の経験を活かせる仕事です。

このように介護職で働いていたことを活かしながら、介護職とは異なった職種で介護をサポートすることが可能です。

2-2-4.介護職で培った強みを活かして異業種で働く

介護職で培った強みを活かして異業種で働くことも1つのキャリア形成の方法です。

例えば、以下のような強みが挙げられます。

  • 重労働をこなしてきている体力のタフさ
  • 利用者の要望を細やかに汲み取れる気配り
  • 職員同士や利用者の家族、外部機関と連携を取ってきた高いコミュニケーションスキル

これらは、あらゆる業界で有利に働く強みになると言えます。

すでに持っている自身の強みを軸にして、どの分野でどのように貢献したいのかを定め、全くの異業種に挑戦することも可能なのです。このように介護職で得た経験を今後どのような形で活かしていきたいかを明確にすると、後悔のない判断ができるようになるはずです。

次の章では、具体的に介護職からどのような職業に転職できるのか職業をまとめました。

どんな転職ができるのかをより具体的にイメージして自身のキャリアプランを考えていきましょう。

3.どんな転職ができる?介護職からできる転職とは

介護職で得た経験は多様なキャリア形成に役立ちますが、具体的にどのような職業があるのかをここではご紹介します。

職業によって転職の難易度も異なるため、転職のしやすさも参考にしながら転職する職業を検討していきましょう。

3-1.同業職『介護職』

介護職という仕事に魅力を感じているのであれば、施設を変えて新しい職場に転職する方法がおすすめです。

特に転職難易度が低いため、スムーズな転職が期待できるからです。これまでの知識や経験をそのまま活かせるため、雇用先からも頼られる存在になるでしょう。

また、介護職は入居型や訪問型、通所型など、さまざまな施設があり、パートやアルバイト、社員など働き方にも柔軟性があるため、現在抱えている問題点を改善する転職方法も叶います。

3-1-1.給与面で不満を感じている場合

給与に不満を感じている場合は、働き方を変えることで改善することもあります。もしも現在パートで働いている方は、正社員として働くことで給与は安定するでしょう。

給与は施設ごとに異なるため、待遇や手当ての良い施設へ転職することで不満が改善する可能性は十分にあります

3-1-2.人間関係にストレスを感じている場合

施設内の人間関係にストレスを感じて「辞めたい」と思っているのであれば、働く場所を変えることで抱えているストレスを断ち切ることができます。

もし、人間関係に悩まず介護職に専念したいと考えているのであれば、訪問型の介護に転職するのも1つの方法です。

3-1-3.身体的な負担が原因の場合

人手不足で抱える業務量が多かったり、夜勤などの不規則なシフトに身体的な負担を感じたりしているのであれば、スタッフの人数が多い施設に転職すると改善できることもあります。

なぜなら、スタッフの人数が多い施設は業務を分担していたり、シフトに余裕を持って勤務できている環境にあることが多いからです。

また、デイサービスなど通所型の施設であれば、夜間勤務は求められませんし、通所できるほど元気な高齢者の対応になるため、介助に必要な負担も軽くなる可能性があります。

3-2.異職種×同業界

職種は異なっても同じ介護業界であれば転職は成功しやすい傾向にあります。なぜなら、介護現場で身に付けた知識や経験を活かすことができるからです。

介護職として働いていたこと強みにできる職業について具体的にご紹介します。

3-2-1.『介護事務』

介護事務とは、介護施設で発生する事務作業を行う仕事です。介護は介護特有の事務が発生するため、的確に事務処理が行える人材を介護施設は求めています。

その介護特有の事務というのが、利用者と国へ費用を請求する“介護報酬請求”の業務です。

そもそも、保険が適用される介護サービスは1割または2割負担で利用者にサービスを提供しています。そのため、サービスを提供した事業者は残りの9割もしくは8割の費用を国へ請求する必要があるのです。

利用者はほとんど保険を適用して介護サービスを利用するため、仕事のメインと言えるほど介護報酬請求が業務内容になります

もしも請求内容に不備があったり、相違があったりすると施設へ支払われるはずの報酬が支払わないという事態になってしまうため、介護事務は縁の下の力持ちと言えるほど重要な役割を担う仕事です。

また、介護報酬請求の他にも、電話応対や来客の対応、備品の管理や労務管理などを任される施設もあります。施設によっては介護職員としてフォローにまわるよう要求がくる場合もあるため、業務内容は事前に確認するようにしましょう。

3-2-2.『ケアマネジャー』

ケアマネージャーとは、介護支援専門員とも呼ばれる職業です。介護を必要とする方に合ったケアプラン(介護サービス計画書)を作成したり、介護サービスを提供する事業者を選定して仲介を行うなど、利用者が適切に介護サービスを受けられるようにサポートします。

さらに、作成したケアプランが適切であったかを確認するとともに、容体の変化によってケアプランを適宜作成し、利用者や家族に助言を行うこともあります。

また、利用者の介護度認定を行うこともケアマネージャーの業務です。介護度によって利用者が受けられるサービス内容が異なるため、重要な役割であるとも言えるでしょう。

ケアマネージャーになるには資格が必要なのですが、資格を取得すれば生涯にわたって活躍できる職業であると言えます。

3-2-3.『介護関連商品の営業』

人とコミュニケーションを取りながら仕事をしていくことに楽しさを感じている人は介護関連商品を販売する営業職はおすすめです。

なぜなら、介護現場で役立つ介護用品やAIシステムなどを営業する場合、現場のことが分かっていると説得性を持たせることができるからです。

介護職を実際に経験して得た知識は資料や知識から学べないことも多くあるため、現場経験のある人材を欲している企業もあります。戦力になる人材として転職がうまくいく場合もあるでしょう。

商品を提供することで介護現場の業務をサポートできる職業のため、これまでとは違った形で介護業界を支える仕事ができます。

3-3.同職種×異業界

業界は異なっても介護職として働いて得たスキルは同職種に活用しやすく、転職もしやすい傾向にあります。

同職種は介護職と同じように利用者に対してコミュニケーションや細やかな気配りなどでサービスを提供する職種だからです。

介護職で培ったスキルを活かせる3つの職業についてご紹介します。

3-3-1.『看護助手』

看護助手とは患者の身の回りのお世話や看護師の補助を行う仕事です。

看護師は国家試験に合格し、資格を取得しなければ看護師として働くことはできませんが、看護助手は資格の保有を求められません。その代わり、看護師が行うような医療行為はできないため、あくまでも看護師のサポーターとして書類の整理や食事・入浴の介助などを行います

患者の身の回りの介助をすることは介護職で経験したスキルや知識が大いに役立つでしょう。患者の近くで寄り添うことが多いため、ときにはナーバスになっている患者の精神的なサポートが求められる場合もあります。

医師や看護師の医療行為がスムーズに進むようにサポートすることが仕事になるため、医療チームの一員としてやりがいを感じられるような仕事です。

3-3-2.『保育補助』

保育補助とは保育資格を保有している保育士の補助を行う仕事です。託児所や保育園、幼稚園など幼少期の子どもを預かる場所が勤務先になります。

保育業界は介護業界と同じく人手不足が深刻化しており、資格保有者のみでは十分な保育が行きわたらないことが多くの施設で課題となっていることが現状です。そのため、最近では資格の保有が必要ない保育補助者を採用することが一般的になりました。

保育補助の役割は資格を保有している保育士の補助なので、保育士の手が回らない部分の補助を行います。例えば、教室の清掃や選択、片付け、行事の飾り付け、食事のサポート、寝かしつけなど。

子どもたちと直接的に関わることはもちろん、保護者との関わりも持つため、介護職で得たコミュニケーションスキルを活かしながら働くことができるでしょう。

体力勝負な面もあるため、重労働をこなしてきたタフな体力を活かすことも可能です。

3-3-3.『接客業』

介護職として働いてきた経験を活かすのであれば、接客業もおすすめな職業です。

なぜなら、接客業も介護職と同じく利用者が心地よく過ごしていただくために、サービスやおもてなしを提供する仕事だからです。

接客業には、例えば飲食店、ホテルのフロント、マッサージ師、エステティシャン、企業や商業施設の受付など、さまざまな業界があります。

業界は異なってもお客様1人1人に合ったサービスを提供して、臨機応変に対応してくことが求められるため、介護職で培った細やかな気配りやコミュニケーションスキルを活かしながら働くことができるでしょう。

お客様と直接関わりながらの仕事なので、「ありがとう」という感謝の言葉をもらうこともあります。人に奉仕して働きたい方におすすめな職業です。

3-4.異職種×異業界

異職種×異業界の転職はハードルが高いですが、基本的なビジネスマナーや介護職で得た強みを活かすことができれば転職できる可能性は十分にあります。転職によって理想の働き方が叶うケースもあるでしょう。

介護職で得た経験を基にして挑戦できる職業を2つご紹介します。

3-4-1.『エンジニア』

エンジニアはITやWebに関する専門的な技術を持っている人のことを指します。インターネットを通じて提供するサービスや商品を正しく届けたり、業務で必要な情報を適切に管理できるようにしたりする仕事です。

今後はますますIT化が進んでいくことも予想されているため、社会で必要不可欠な将来性のある職業だと言われています。

エンジニアは未経験者や異業種から挑戦する人も多く、技術を身に付けることができれば働ける職業です。

また、エンジニアは黙々とパソコン操作をする印象を持ちますが、クライアントの意図を汲んで設計したり、お客様の使用感を考えながら業務を進めていきます。

そのため、異職種×異業界であっても、介護職で身に付けた気配りやコミュニケーションスキルを活かしながら仕事をすることも可能です。

3-4-2.『営業』

異業界であっても営業職は介護職が挑戦しやすい職業であると言えます。

なぜなら、介護職として働く方は日々多くの方とコミュニケーションを取って業務を進めているため、すでに営業職で求められる高いコミュニケーションスキルが身についている方が多いからです。

営業職はサービスや商品を「売り込む」というネガティブな仕事という印象を持つ方が多いのですが、お客様が感じている課題を解消するために提案、販売することが仕事です。

利用者の課題に寄り添ってサポートをする介護職と同じように、営業職はサービスや商品を通じてお客様の課題を一緒に解決していきます。

そのため、介護職で求められる要望の汲み取りや、密なコミュニケーションなどは営業職でも求められるスキルなのです。

また、企業にもよりますが、営業職は努力した結果が給与として返ってくるインセンティブ制度を取り入れている場合があります。

介護職で感じている「給与が低い」「評価されない」などの不満を解消できる職業であるとも言えるでしょう。

4.同業職『介護職』の転職を成功させるポイント

介護職への転職は持っているスキルや知識をダイレクトに活かせるため、あらゆる職業の中でも転職に成功しやすいです。

しかし、すぐに転職を繰り返してしまうような失敗はしたくないですよね。

介護職への転職を成功させるポイントは下調べをしっかりして比較・検討を行い、職場を決めることです。

ここからは、気になった介護施設の労働環境をどのように情報収集するのか、見るべきポイントはどこなのかを具体的にご紹介します。

4-1.インターネット上の情報をくまなくチェックする

まずはインターネットを使って求人情報や施設のホームページにアクセスし、自分でできる限りの情報をチェックしましょう。

なぜインターネット上の情報を確認するのかと言うと、最近は紙媒体よりも、インターネット上に情報が多く載っているからです。

インターネットを使って確認したいポイントは以下の2点です。

  • 施設の経営理念や方針
  • 給与、雇用条件、待遇

4-1-1.施設の経営理念や方針

経営理念や方針は必ずチェックしておきましょう。なぜなら、経営理念や方針に企業の価値観が表れているからです。

その施設がどのような考えを持って運営しているかを見て、あなた自身がその運営方針に共感できるかを考えてみてください。

もしも共感できるようであれば、あなたも他のスタッフも働く方向性が一緒になるため、フォローし合える環境が期待できるでしょう。

施設によっては『経営理念』や『方針』という言葉ではなく、『ビジョン』『コンセプト』など違った表現をしているかもしれません。

施設の概要として載せていることがほとんどなので、ホームページでチェックしてみてください。

4-1-2.給与、雇用条件、待遇

給与や雇用条件、待遇については必ずチェックを行いましょう。

なぜなら、このような労働内容は働くモチベーションにつながるからです。施設によっては必要最低限の項目しか載っていない場合もありますが、不明点を明確にするためにもインターネット上に載っている求人情報はくまなくチェックして比較・検討のための材料にしましょう。

施設によってはホームページではなく、求人サイトに記載がある場合もあります。ホームページ以外でも施設に関する情報があればしっかりチェックしておくことがポイントです。

4-2.施設を見学させてもらう

情報収集をしている中で気になる施設があった場合は施設見学を申し出ましょう。希望すると面接とともに見学させてくれるパターンがほとんどです。

もし断るような施設であれば、「何らかのトラブルを抱えている」という表れである可能性もあるため、成功する転職が難しいと考えて良いでしょう。

施設を見学する際には以下のポイントに注目してください。

4-2-1.入居者

『ケアが行き届いているか』をポイントにして入居者を確認しましょう。

たとえば、以下のような点が挙げられます。

  • 身だしなみが整っているか
  • 生き生きとした表情で過ごしているか

もしも、服についた食べこぼしなどの汚れがそのままになっていたり、不満を抱いている雰囲気がある場合は、人員不足や指導不足などが考えられます。

4-2-2.職員

現場で働く職員を見るポイントは『楽しそうに働いているか』という点です。

  • 笑顔でコミュニケーションを取っているか
  • 動きに余裕があるか
  • スタッフ同士や見学者などに対してあいさつがあるか

以上のような、働きぶりに余裕やポジティブさを感じるかをチェックすると良いでしょう。

タイミングによっては職員の方に直接お話を伺える機会もあるかもしれません。もしお話できる機会があれば、業務の分担方法や指導内容、残業の有無などリアルな声を聞いてみることもおすすめです。

4-2-3.施設

施設内の様子もしっかりチェックをしておきましょう。施設で見る部分は以下のような部分のチェックがおすすめです。

  • トイレや洗面台などの水回り
  • 廊下
  • シーツやベッド周り
  • 食堂など利用者が集う場所

ゴミやほこりが放置されていないか、シーツに汚れが付いたまま放置されていないか、水回りから悪臭が漂っていないか、など施設内の清潔感を確認しましょう。

このようにしっかりと下調べをして転職すると「思っていた労働環境と違う」という相違がなくなるため、長期的に働けるような転職が叶います。

5.異職種・異業種の転職を成功させるポイント

介護職を離れ、異なる職種・異なる業界で転職を考えているなら、以下の3つのポイントを転職活動で取り入れましょう。

  • 業界研究を行う
  • 企業研究を行う
  • 経験やスキルがどのように活かせるのかを明確にする

5-1.業界研究を行う

業界研究とは、志望する業界の知識を得ることです。

業界を正しく認識することで、業界に対するイメージが具体化し、その業界で働きたいと思えるかを確認することができます。また、業界と自分のつながりを見つけることができるため、説得力があるアピールができたり、後悔のない転職につながったりと、転職を成功に導く要素にもなるのです。 

業界研究する際は正しい理解を得るために、情報が偏らないようさまざまソースから情報収集するように心掛けましょう。

例えば、以下の方法で情報を収集します。

  • 本、新聞、ニュース
  • インターネット
  • 業界のセミナー
  • 就職情報サイト

ニュースなどで業界の動向を確認するだけでなく、セミナーに参加して実際にその業界で働いている人の声を聞くなど、積極的な情報収集を行うことがポイントです。

5-2.企業研究を行う

転職活動において企業研究で得た情報は重要な要素になるため、必ず行いましょう。

なぜなら、企業についての理解を深めることで、自分が理想としている働き方やキャリアプランにマッチするかを見極めることにつながるからです。

1つの業界の中だけでも企業はたくさん存在しているため、「たくさんある企業の中でも、どの企業が良いのか」を明確化することはとても大事なのです。

また、転職活動の選考時には、企業に「自分が必要な人材」であることを説得しなければなりません。論理的に貢献できることをアピールするためには、企業を深く理解し、どのような人材を求めているかを知る必要があります

企業研究では、企業のホームページや求人サイト、OB・OG訪問などを活用して、企業の基本的な情報だけでなく、事業内容や業界でのポジション、社風、どんな人が働いているか、などを確認しましょう。

企業研究は自分に合った企業を探すための作業なので、時間をかけて何社も企業研究を行う必要があるかもしれませんが、転職を成功させたいのであれば欠かせないプロセスです。

5-3.介護職の経験やスキルがどのように活かせるのかを明確にする

介護職での経験やスキルが転職先でどのように活かせるのかを明確化することは大切です。

なぜなら、異職種・異業界では経験や実績がないため、自分の持っているスキルを強みにすることが評価につながるポイントになるからです。

例えば、介護職で働いているのであれば、以下のように異職種・異業界でも活かせるスキルが多くあるでしょう。

  • 重労働をこなしてきている体力のタフさ
  • 要望を細やかに汲み取れる気配り力
  • 職員同士や利用者の家族、外部機関と連携を取ってきた高いコミュニケーションスキル
  • 利用者の問題解決に取り組んできたことによる解決スキル
  • 不規則なシフトをこなしてきたスケジュール管理力

異なる分野であってもこれらのスキルはビジネススキルとして高く評価されるため、これまでの経験やスキル明確化して転職活動を行うことが1つのポイントです。

6.まとめ

介護職として働いていた人が「介護職を辞めてよかった」と思えた理由には、これら4つの理由があげられることを紹介しました。

「介護職を辞めてよかった」と思えた理由は?

  • 見合わない賃金に対する不満を感じなくなった
  • ストレスの要因になる人間関係を断ち切ることができた
  • 身体的な負担がなくなった
  • 自分の時間を楽しめる余裕ができた

ただし、これは後悔なく辞められた場合に感じられるメリットです。そのため、辞めるか迷っているのであれば、後悔する決断をしないためにも、自分にとってなにが働くうえで重要なのか、改めて自分自身に問いかけてみることが大切です。

『辞めたいのは「介護職」なのか「職場」なのか』を判断し、理想とするキャリアプランを実現するための転職活動に移りましょう。

転職の難易度は介護業界や職種と離れるほど難しくなりますが、自分自身のスキルや強みを活かせば不可能なことではありません。

介護職として働いた経験や身についたスキルは、介護職だけでなく、他の職種、業界でも通用する強みになります

自分自身の経験やスキル、選択に自信を持ち、「辞めてよかった」と思えるような転職を目指しましょう。

あなたが目指すべき
キャリアアップとは?

よりよいキャリアアップを目指して先々の計画を立てることをキャリアデザインと言います。
どのようなキャリアを積み、自分の人生に役立てていくかを、常日頃からイメージしておくとよいでしょう。
もちろん、無理してキャリアアップなどせずに平坦に暮らしていたいというのも、ひとつの考え方です。

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