
キャリアプランとは、仕事をしていくうえで将来的に自分が「こうなりたい」と思う理想像を実現するための行動計画のことです。
キャリアプランでは、いつ・どんな職種に転職するのか、どんな資格を取得するのか、どうスキルアップしていくのかなど、具体的な行動を計画していきます。
キャリアプランを立てることによって、自分が目指す理想の姿に確実に近づけるのが、大きなメリットといえます。
しかしながら、明確なキャリアプランを持つことなく日々の仕事を行っている人が多いのが現状です。結果、転職に失敗したり、貴重な時間を漫然と過ごしたりして、後悔する人が後を絶ちません。
そこでこの記事では、仕事をするすべての人にとって重要な「キャリアプラン」について、詳しく解説します。
この記事のポイント
- キャリアプランの基礎知識が身に付く
- キャリアプランの作り方がわかる
- 転職活動でのキャリアプランの書き方・答え方まで解説
この解説を最後までお読みいただければ、あなたは「キャリアプランの基本」はもちろん、どのような手順で考えれば良いのか、また転職活動の面接で聞かれたらどう答えればよいのかまで理解できるようになります。
結果として、キャリアプランを活用して、自分が願うとおりの人生を歩むことが可能になるはずです。
ではさっそく、キャリアプランの解説を始めましょう。
目次
1. キャリアプランとは

まずはキャリアプランの基礎知識から見ていきましょう。
1-1. キャリアプランとは将来の理想像を実現する行動計画のこと
キャリアプランとは、仕事をしていくうえで自分がこうなりたいと願う将来の理想像を実現する行動計画のことです。
将来的に到達したい自分の姿にたどり着くために必要な資格、専門的な知識、能力やスキルを取得するために必要な計画を、キャリアプランと呼びます。
具体的には、経歴・職歴の計画、職務経験上の計画、専門的な職業訓練を受ける計画などがキャリアプランに含まれます。
▼ キャリアプランの事例

出典:内閣府
キャリアプランでは、3年後・5年後・10年後・さらには生涯──といった長期的なスパンで、目標に向けてどのようなキャリアを積み上げていくかを考えます。
例えば、どんな会社でどんな仕事をし、転職が必要な場合はどのタイミングで転職し、どんな職務や業務経験を積んでいくか──などをあらかじめ定めていくのが、キャリアプランです。
1-2. 人事制度の名称としてのキャリアプランとは
キャリアプランには、企業の人事制度としての意味もあります。
企業内での教育、資格制度、能力評価制度などの総合的な人事管理制度を通して、企業の人材開発と従業員自身の人生計画におけるステップアップを共存させる仕組みを、キャリアプランと呼びます。
例えば、パナソニック ホームズ株式会社では、一人ひとりのキャリアプランを支援するための制度を導入しています。
▼ キャリアプラン制度の事例
一人ひとりのキャリアプランを支援するための制度を導入しております。
「階層別研修」「職能別研修」「役割別研修」「自己啓発支援」などの研修制度を導入、人事考課制度では、評価基準を明確にし、評価の精度アップ、評価を確実にフィードバックし納得性の向上、「公的資格奨励祝金」は資格によっては25万円を支給しております。
個人が目的を持ってキャリアを歩める環境をご用意しています。公的資格取得奨励祝金制度
全社員、プロ社員を目指し、公的資格の取得を推奨しています。
例)一級建築士/25万円、二級建築士/10万円、宅地建物取引主任者/10万円キャリア開発制度
求人票などに「キャリアプラン制度あり」と記載されていたら、計画的にキャリアを積むことを支援する人事制度のある企業と解釈しましょう。
1-3. キャリアパス・キャリアビジョン・キャリアデザインとの違い
キャリアプランと混同しやすい類義語に、キャリアパス・キャリアビジョン・キャリアデザインがあります。ここで意味の違いを整理しておきましょう。
▼ キャリア関連の類義語
| キャリアプラン | 仕事をしていくうえで将来の理想像を実現するための行動計画 |
| キャリアビジョン | 仕事をしていくうえでの将来の理想像 |
| キャリアデザイン | 自分のキャリアの積み方を設計・構想すること |
| キャリアパス | 企業内における昇進の道筋・ルート(企業が従業員に提示することが多い) |
キャリアプランで実現を目指す将来の理想像のことを、キャリアビジョンと呼びますので、キャリアプランとは「キャリアビジョンを実現するための行動計画」と言い換えることができます。
キャリアデザインは設計・構想すること自体を指すのに対し、キャリアプランはキャリアデザインした内容を実現するための行動計画を指します。
キャリアパスは企業が従業員に対して示す昇進の道筋・ルートを表す言葉です。
詳しくは以下の記事もあわせてご覧ください。
▼ あわせて読みたいおすすめ記事
キャリアパスとは?基本の意味と自分に合うキャリアパスの判断方法
キャリアビジョンとは?描く手順と面接を成功させる答え方・注意点
2. キャリアプランを立てる目的

キャリアプランは、なぜ立てる必要があるのでしょうか。
キャリアプランの目的は、究極には「自己実現を達成し幸せな人生を歩むこと」といえます。
キャリアプランでは、実現したい自分の姿を明確にし、それを実現するためにすべきことを具体的な計画に落とし込みます。
これはつまり、「自分はどんな生き方をしたいのか?」と考えることにほかなりません。
計画を持たずに漠然と流されるように働いたり、会社の都合に合わせて半ば強制的にキャリアを変えたりすることは、自己実現から遠ざかる行動です。
キャリアプランを作る意義とは、自分が人生の主導権を握り、望むゴールに向かって思うように人生を舵取りできるようにすることといえるでしょう。
3. キャリアプランを立てるメリット

キャリアプランを立てると、具体的にどんな良いことがあるのでしょうか。3つのメリットをご紹介します。
3-1. 自己実現のスピードが速まる
1つめのメリットは「自己実現のスピードが速まる」ことです。
もし「将来的には、こうなりたいな」というイメージを持っていたとしても、明確な行動計画がなければ、イメージを実現するまでに長い時間がかかります。
長い時間がかかるどころか、そもそも実現できないケースも多々あるのが現実といえるでしょう。
その理由は、キャリアプランがないと私たちは「アクティブ・ノンアクション(active non-action):不毛な多忙」に陥ってしまうからです。
アクティブ・ノンアクションとは、忙しく動き回っていても、目的を伴う意識的行動を取れていないため、結果的には何の成果もなしていない状況を指す言葉です。
キャリアプランを立てれば、アクティブ・ノンアクションに陥るリスクを回避できます。計画に沿った意識的な行動を取れるようになるからです。
結果、自己実現へのスピードが速まることは、いうまでもありません。
3-2. 仕事へのモチベーションが高まる
2つめのメリットは「 仕事へのモチベーションが高まる」ことです。
私たちは、自分にとってメリットのないことや、目的・意義が理解できないことに対して、やる気を出すことができません。
「意味がないこと(意味がないと感じること)は、やる気になれない」のが、人間の心理だからです。
キャリアプランを立てると、「いま目の前にある仕事が、自分の将来の理想像に向けて、どういう意味があるのか」が明確に実感できるようになります。
日々の業務が、自分のキャリアにどう結び付くのかがわかっていれば、おのずと仕事へのモチベーションが高まっていくというわけです。
誰しも「仕事をしたくない」と感じながら、嫌々働くのはつらいものですが、キャリアプランには、あなたのモチベーションを楽々と高める効果があります。
3-3. 自分がやりたいことに気付ける
3つめのメリットは「自分がやりたいことに気付ける」ことです。
ここまでお読みいただき、「自分には理想像や目指す姿はない」「どんな自分になりたいのか、自分でよくわからない」という方もいるかもしれません。
それはまったく恥ずかしいことではありませんし、“意識高い系”を気取って表面上の理想像を語るよりも、よほど正直で前向きな態度といえます。
そして実は、自分がやりたことや目指す理想像がまだ明確でない人にこそ、キャリアプランはおすすめです。
なぜなら、キャリアプランを作る過程に、自分自身を見つめ直し、自分のなりたい姿や理想像を明確化するプロセスが含まれているからです。
つまり、キャリアプランを立てる作業には、自分のやりたいことに気付けるというメリットがあるのです。
キャリアプランを立てる具体的なやり方は、次章で解説しましょう。
4. キャリアプランの作り方 3ステップ

キャリアプランはどのように作り上げていけば良いのでしょうか。その方法を説明します。
ステップ2:将来の理想像を考える
ステップ3:現状と理想像を近づけるプランを立てる
ひとつずつ見ていきましょう。
4-1. ステップ1:過去から現在までの職務経歴を分析する
1つめのステップは「過去から現在までの職務経歴を分析する」です。
このステップの目的は「自分の現状を把握すること」です。
というのも、キャリアプランとは《自分の現状》と《将来の理想像》のギャップを埋めるために必要な行動計画ともいえます。

有益なキャリアプランを作るためには、まずは現状把握が大切です。具体的には、以下をすべて棚卸しして、書き出してみましょう。
▼ 整理するポイント
- 過去から現在に至るまでの職務経歴
- 現在までの業務で得た経験、スキル、知識
- 今までに経験した雇用形態、役職、役割、労働時間、収入、福利厚生など
- ワークライフバランス
- どんな仕事が好きか/嫌いか
- どんな仕事が得意か/不得意か
- 現在の仕事の満足な点/不満な点
これらの項目を明らかにして、自分が今後できること・したいことを考えるヒントとしていきます。
4-2. ステップ2:将来の理想像を考える
2つめのステップは「将来の理想像を考える」です。
ステップ1での現状把握を参考にしながら、将来、自分はどうなりたいのかを明確にしていきます。
近い将来から遠い将来まで、期間を区切って「こんな風になりたい」という姿をイメージすると、考えやすいでしょう。
- 3年後の自分はどうなっていたいか?
- 5年後の自分はどうなっていたいか?
- 10年後の自分はどうなっていたいか?
- 20年後の自分はどうなっていたいか?
- 30年後の自分はどうなっていたいか?
これらを考える順序としては、2つあります。
1つめは、3年後→5年後→10年後…と現状から次のステップ、さらにその次のステップ…と、現在の位置から積み重ねて考えていくやり方です。
2つめは、先に「30年後にはこうなっていたい」といった最終目標を設定して、最終目標から逆算して必要なステップを考えていくやり方です。
両方のやり方を試してみて、自分にとって考えやすいほうで進めていきましょう。
なお、将来の理想像の設定方法をより詳しく知りたい方には、以下の記事で解説しています。
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4-3. ステップ3:現状と理想像を近づけるプランを立てる
3つめのステップは「現状と理想像を近づけるプランを立てる」です。
《自分の現状》と《将来の理想像》が明確になったら、その差(ギャップ)を埋めるために何をすべきか洗い出し、それを実行する計画を立てていきます。

まずは、将来の理想像と自分の現状を比較して、不足しているスキルを明確にしましょう。そのうえで、不足しているスキルを補強するために、これから何を・いつまでにすれば良いのか、計画していきます。
例えば、「現在はWeb担当として会社で働いているけれど、10年後には起業し社長として会社を切り盛りしていきたい」と考えているとしましょう。
その場合、現状で足りていないスキルは何でしょうか。例えば、以下が挙げられます。
▼ 不足しているスキルの例
- 部下のマネジメント
- 財務や会計の知識
- マーケティングのスキル
- 経営管理のスキル
これらのスキルを形成するキャリアプランとしては、以下が考えられます。
▼ キャリアプランの例
- 1年後:マネジャーに昇格して3人以上の部下を持つ
- 3年後:管理会計の基礎と財務諸表・決算書の分析ができるようになっている(講座の受講や日々の独学で)
- 5年後:社内でマーケティング職に異動する
- 8年後:経営企画職に転職する(できるだけ経営者の近くで働けるように役員での採用を目指す)
- 10年後:独立・起業する
4-4. 補足:自分がワクワクできる理想像に向かってプランを立てる
補足として、前項では「起業したい」と考えている人を例に出しましたが、キャリアプランによって目指す理想像は、人によって異なります。
必ずしも、キャリアアップを目指す必要性もありません。例えば、以下も立派な理想像です。
- 10年後までに満員電車に乗らずに済む自由な生活を手に入れる
- 産休・育休を5年取るために必要な貯蓄や準備を28歳までに済ませる
- 30歳までに年収1,000万円の大台を超える
- 5年後までに田舎に移住かつ収入が途絶えない体制を作る
- 45歳でアーリーリタイアするために40歳までに資産を作る
あなた自身が「これが私の理想だ!」とワクワクするゴールを設定し、そのためにすべきことをプランニングしてください。
本記事の前半でも触れたとおり、キャリアプランの目的は「自己実現を達成し幸せな人生を歩むこと」です。あなたが幸せに生きていくためのキャリアプランを立てていきましょう。
5. 年代別に見るキャリアプランの成功ポイント

キャリアプランの作り方は、年代によって異なるポイントがあります。
ここでは「成功するキャリアプランのコツが知りたい」という方向けに、年代別のコツをご紹介しましょう。
5-1. 20代前半のキャリアプラン
最初に「20代前半のキャリアプラン」を見てみましょう。
20代前半では、社会人経験がまだ浅い人がほとんどです。今までのキャリアを活かすというよりは、ゼロからキャリアを積み上げていくキャリアプランを作成することになります。
そのため「4-1. ステップ1:過去から現在までの職務経歴を分析する」で解説した職務経歴の分析ができませんので、代わりに自己分析を行いましょう。
自己分析の具体的なやり方としては、まずは次の3つの問いを自分自身にしてみてください。
- なにが自分にできるのか、得意なことはなにか
- なにをやりたいのか、だれに喜ばれたいか、どのような人といっしょに仕事がしたいか
- なぜ、そういう仕事がしたいのか、なにをめざしているのか、自分の夢とはなになのか
「会社と個人を元気にするキャリア・カウンセリング」より
出典:東京大学
上記の質問にすぐに答えが出ない場合には、次のことを参考にしてながら答えを探っていきます。
- 友人や両親などに、自分のいいところを聞いてみましょう(自分ではあたり前と思っていたことが、人からは立派な長所とみられている場合があります)
- 過去にどんなとき楽しかったか思い出して書いてみましょう
- 人より「これはちょっと得意」というところがあったら書いてみましょう(もちろん大学で勉強してきたことでもかまいません)
- 「これだけはゆずれない」という自分にとって大切にしていることがあったら書いてみましょう
出典:東京大学
自己分析を通して自分の能力・興味・価値観などが見えてきたら、それらをもとに将来の理想像を描き、キャリアプランを作っていきましょう。
5-2. 20代後半のキャリアプラン
次に「20代後半のキャリアプラン」を見てみましょう。
20代の後半になってくると、役職について活躍する人が増え始めます。と同時に、「30歳になる前に転職したい」と考え、転職活動に向けてキャリアプランを作る人も多くなります。
20代後半のキャリアプランを考えるときに大切にしたいのは、新卒で就職活動をしていたときに思い描いていた仕事や自分の環境と、現実との間に感じたギャップです。
というのも、20代後半は、新卒時に描いていたキャリアプランを軌道修正するために最適なタイミングだからです。
実際に社会に出て働いた経験から、学生時代とは異なる気付きを得て、新たな目標ができた人もいるでしょう。あるいは、理想が打ち砕かれて、現実を突きつけられた人もいるかもしれません。
それらのギャップを十分に踏まえたうえで、現在の自分にぴったりと合うキャリアプランを作りましょう。
5-3. 30代のキャリアプラン
30代は、多くの選択肢や可能性が残されている20代までとは異なり、「現実的にできないこと、不可能なこと」も増えてくるのが特徴です。
30代のキャリアプランでは、現実をシビアに見つめ、自分に実現できる可能性の範囲内で最善を目指す視点が重要になります。
もちろんこれは「30代以降はチャレンジできない」という意味ではありません。いくつになっても年齢に関係なく、したいチャレンジはしていくべきというのは前提です。
その一方で、チャレンジを成功させるためには、これまでの社会人経験を十分に活かすと同時に、大人としての智恵を大いに働かせて、現実的な計画を立てなければならないのが30代のキャリアプランといえます。
なぜなら、まだまだ若いとはいえ、20代に比較すればもう時間がないのが30代の現実だからです。
目標に向かって“やるべきこと”を明確にすると同時に、“やるべきでないこと・やらないこと”も明確にしましょう。
できるだけ無駄を省き、効率的に目標にたどり着ける道筋を熟慮することが、30代のキャリアプランを成功させるポイントです。
5-4. 40代以降のキャリアプラン
40代以降は、本来であれば20代〜30代で作ったキャリアプランに基づいて、定めた最終目標に向け行動を続けている時期です。
しかしながら、さまざまな事情で軌道修正を余儀なくされたり、キャリアチェンジを決意したりして、新たにキャリアプランを組み立て直すケースもあります。
あるいは、アーリーリタイアを目指す方や、長年勤めた会社を脱サラして第二の人生を歩みたいという方もいるでしょう。
40代以降のキャリアプランでは、「一瞬の時間も無駄にしない」という気持ちで綿密な計画を立て、確実に実行していくことが大切になります。
プランニング力に自信があれば自分ひとりでキャリアプランを立てるのも良いですが、少しでも不安があれば、プロの手助けを得たいところです。
具体的には、キャリアコンサルタントに相談して、キャリアプラン作りを手伝ってもらう方法があります。キャリアコンサルタントは国家資格で、キャリアに関するコンサルタントを行う専門職です。
国のキャリアコンサルタント名簿に登録しているキャリアコンサルタントは、「キャリアコンサルタント検索」にて検索できます。
専門家の手助けを得て、抜かりのないキャリアプランを作っていきましょう。
6. 転職活動におけるキャリアプランの書き方・答え方

キャリアプランの作り方の章では、「これが私の理想だ!」とワクワクするゴールを設定してキャリアプランを立ててほしいとお伝えしました。
しかし一方で「転職活動で、求人企業からキャリアプランを聞かれた場合」となると注意が必要です。
企業はどういう意図でキャリアプランを聞いているのかを理解したうえで、転職活動が有利になる受け答えをする必要があります。
6-1. 求人企業がキャリアプランを聞く理由
求人企業が求職者にキャリアプランを尋ねる理由とは、何でしょうか。大きく2つの理由があります。
理由1:企業の方向性とのマッチングを見るため
1つめの理由は、企業の方向性と求職者のマッチングを見るためです。
企業としては「今回採用する人材には、このような方向性でキャリアを積み重ねてほしい」という方針があり、その方針とマッチしている求職者を探しています。
企業は、高い意欲を持って働いてくれる人材を採用したいと考えていますが、その指標となるのが、企業の方向性と求職者のキャリアプランのマッチングです。
求職者自身のキャリアプランと企業が求めることがマッチしていれば、企業側が強制しなくても、その人物のモチベーションは高く保たれます。その人自身のパーソナルな利益と重なる部分があるためです。
よって、企業は意欲高く働いてくれる人材を見つけるために、キャリアプランを聞くのです。
理由2:その人物の価値観やスキルを知るため
2つめの理由は、キャリアプランを聞くと、その人の価値観から能力・スキルまで、たくさんの情報が得られるからです。
その人がゴールとしている自分の理想像を聞けば、どんな価値観・興味・関心事を持っている人物なのかがわかります。
そのゴールに至るまでどんな計画を立てているのかを聞けば、プランニング力・企画力・戦略立案力といったスキルを見ることができます。
さらに、その計画に沿って具体的にどんな行動をしているのかを聞けば、その人の行動力や有言実行力を計ることができるのです。
6-2. キャリアプランの書き方・答え方
以上の求人企業がキャリアプランを尋ねる意図を踏まえれば、転職活動でキャリアプランをどう伝えるべきなのかが見えてきます。
まず大きなポイントとなるのが、企業サイドが求人票などで提示しているビジョン(長期的な目標や方向性)と、自分のキャリアプランの方向性を一致させることです。
たとえば、企業の求人票に、「今後は多角経営を目指しており、社員たちに積極的に権限を委譲して経営に参画できるようにしていきたいと考えています。そこで幹部候補の社員を募集します」という内容が書いてあったとしましょう。
このケースでは、「将来的に独立・起業を考えていて、そのために積極的に経営に関わりたい」というキャリアプランを伝えるのが良いといえます。
加えて、自分自身の能力をアピールするためには、できるだけ具体的に計画を語りつつ、実際に自分が実行していることを伝えると良いでしょう。
ポイント
- 求人企業のビジョンと方向性を合わせたキャリアプランを伝える
- キャリアプランの行動計画を具体的に話す
- キャリアプランに基づいて自分が実際に行動している内容を伝える
7. キャリアプランに関する注意点

最後に、キャリアプランに関する注意点を2つ、お伝えします。
7-1. キャリアプランは必要に応じて軌道修正する
1つめの注意点は「キャリアプランは必要に応じて軌道修正する」ことです。
“一度キャリアプランを立てたら修正してはいけない”と勘違いしている方が見受けられますが、キャリアプランは必要に応じて修正することも大切です。
というのは、人生において、すべてを計画どおりに進めるのは、難しいものだからです。
良い面でも悪い面でも、想像もしていなかった出来事との遭遇や、人との出会いによって、プランに変更が生じることは多々あります。
大切なのは、キャリアプランを修正しないことではなく、常にアクティブ(稼働中)のキャリアプランを持っていることです。
つまり、予定に変更が生じたならば、その都度キャリアプランを軌道修正し、常にアップデートされた最善のキャリアプランを携えて仕事人生を歩んでいきましょう。
そんなキャリアプランなら、あなたの望む人生を実現させる一助になるはずです。
7-2. キャリアプランに基づいて行動してこそ意味がある
2つめの注意点は「キャリアプランに基づいて行動してこそ意味がある」ことです。
前述のとおり、キャリアプランの軌道修正は、必要性がある限りは積極的に行うべきといえます。
しかしながら、必要がないのに軌道修正ばかり繰り返して肝心の行動がおざなりになっては、キャリアプランから得られるものは何もありません。
キャリアプランを作成したら、プランに沿って行動してこそ意味があります。作成しただけで満足せずに、「キャリアプランをもとにどんな行動をしたか」にフォーカスして、アクションを起こしていきましょう。
8. まとめ
キャリアプランとは、仕事を通して将来自分がこうなりたいと願う理想像を実現するための行動計画のことです。
キャリアプランを立てる目的は、究極的には「自己実現を達成し幸せな人生を歩むこと」といえます。
キャリアプランには、以下のメリットがあります。
- 自己実現のスピードが速まる
- 仕事へのモチベーションが高まる
- 自分がやりたいことに気付ける
キャリアプランの作り方は以下のとおりです。
ステップ2:将来の理想像を考える
ステップ3:現状と理想像を近づけるプランを立てる
キャリアプランを成功させるコツは、年代によって異なります。
▼ キャリアプランを成功させるポイント
| 20代前半 | 自己分析を行う |
| 20代後半 | 学生時代に描いていた理想と現実とのギャップを踏まえて考える |
| 30代 | やるべきでないこと・やらないことを明確にする |
| 40代以降 | 専門家の力を借りて緻密な計画を立てる |
転職活動において求人企業にキャリアプランを聞かれたときには、その意図を把握したうえで返答しましょう。
求人企業がキャリアプランを聞く理由は、次の2つがあります。
- 企業の方向性とのマッチングを見るため
- その人物の価値観やスキルを知るため
返答のポイントは以下のとおりです。
- 求人企業のビジョンと方向性を合わせたキャリアプランを伝える
- キャリアプランの行動計画を具体的に話す
- キャリアプランに基づいて自分が実際に行動している内容を伝える
キャリアプランの注意点としては、必要に応じて軌道修正すること、キャリアプランに基づいて行動してこそ意味があることが挙げられます。
キャリアプランを作成して実行に移していくことは、自己実現につながる重要なプロセスです。さっそくあなた自身のキャリアプランを考えてみてください。





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