転職時の退職金はどうなる?損したくない人のための基礎知識

「転職する事になったけど、考えてみれば退職金ってどうなるんだろう?」
「転職する場合、退職金って貰えるのかな?」

転職する場合の退職金が貰えるのか、貰えるとしたらいくらもらえるのか?とっても気になりますよね。

転職活動を始める場合はついつい転職先の事ばかりを考えてしまいがち。しかし、転職とはいえ現在の会社を辞めるのであればそれは「退職」です。退職金が気になるのは当然の事です。

結論から言えば、転職時に退職金を貰えるかどうかは企業により異なります

  • 退職金がいくらもらえるかは会社の制度により異なる
  • 自己都合か会社都合か、勤続年数で異なる
  • そもそも、退職金制度を設けていない会社もある

退職金を貰えるかどうかや、いくら貰えるかは細かい事情により左右されます。そのため、今すぐいくら貰えるか知りたい!という方にピンポイントで金額をお伝えする事はできません。

ただし「転職時の退職金の事を知りたい」という人は、この記事をお読みいただくことで転職時の退職金の基礎知識を得ることができます。

具体的には、以下について詳しく解説していきます。

  • 転職時に貰える退職金の種類
  • 転職時の退職金の給付額の基準
  • 知っておくべき退職金トラブル

これを読むことで転職時の退職金について理解を深め、安心して転職活動をしていただければ幸いです。

1.転職時の退職金の基礎知識

ここからは、退職金の基礎知識について詳しく解説していきます。

1-1.退職金がもらえるかは会社の制度により異なる

退職金制度はどの企業も採用しているものではありません。退職金支給は法律で定められているものではないため、企業によっては支給されない事もあります。

転職 退職 金

出典:厚生労働省

以上のグラフによると、全体の約5分の1の企業が退職金制度を設けていることが分かります。

また、以下は企業規模による退職金給付の割合をグラフにしたものです。

転職 退職 金

企業の規模が大きければ大きいほど、退職金給付制度がある企業の率は高まります。

退職金については就業規則を確認しよう!

退職金については就業規則の退職金規定に記載があります

退職金の有無に関しては法律で定められたものではありません。しかし、退職金制度を取り入れている場合には、就業規則に記載することが法律で定められています(労働基準法第89条3号の2)。

転職を考えたときに退職金について知りたい場合は、まずは就業規則を確認しましょう。

1-2.転職時にもらえる退職金の種類

退職金には大きく分けて2つの種類があります。

1-2-1. 退職一時金

退職一時金とは、退職時に企業側が一時金として退職金を対象者に支払う制度です。一般的な「退職金」とは、この「退職一時金」の事を指します。

退職一時金の算出方法は企業によって決められています。算出方法には大きく分けて2種類あります。

  • 企業に在籍した年数によって支給額に変動がある、「年功型」
  • 転職時の役職や実績よって支払額が決定する「成功報酬型」

現在の日本においては、「年功型」を採用している企業が多い傾向にあります。

どちらの算出方法を採用しているかによって、転職時の退職金の金額は変わってきます。

1-2-2. 企業年金制度

企業年金とは、退職金が一度に支給されるのではなく、長期間にわたって少しずつ支給される制度の事です。

企業年金制度には「確定給付型企業年金」、「確定拠出年金(企業型)」の二種類があります。基本的に企業年金は60歳以降から受け取れる仕組みになっています。

転職の場合は、これを「脱退一時金」として受け取ることができます。

いずれも、自分で掛け金を決めて運用するため、「給与の一部(後払い)」ともいわれる退職一時金とは根本的な性質は異なります。が、企業年金を「退職金」として支給するケースも少なくありません。

  • 確定給付型企業年金:企業または委託された機関が積立金を運用する
  • 確定拠出年金(企業型):積み立てて、自分で運用する

企業によっては、企業年金と退職一時金を併用している場合も多いです。しかし、そもそも企業年金制度を取り入れている企業はそれほど多くはありません。

転職 退職 金

出典:厚生労働省

企業年金制度を取り入れている企業は、全体の4分の1程度です。

1-3. 退職金にも税金がかかる

退職金にも所得税が課税されます

ただし、退職一時金や企業年金制度に関しては、税率の軽減制度である「退職所得控除」が用意されています。控除を受けるためには、「退職所得申告書」を会社に提出しましょう。これにより所得税を大幅に節税できます。

控除を受けた場合の所得税の計算方法は以下の通りです。

勤続年数(=A)退職所得控除額
20年以下40万円 × A(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超800万円 + 70万円 × (A – 20年)

参考:No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)

退職金の受け取りで損しないよう、手続きはしっかり行いましょう。

2.転職時の退職金はいくら?

「それで結局、退職金はいくらもらえるの?」

ここまで読んだ方の中には、以上のように考える方も少なくないかもしれません。

冒頭でも解説した通り、残念ながら「あなたの退職金は●円です」と結論付けることはできません。なぜなら退職金の金額は企業によって算出方法が違うからです。

転職時の退職金は様々な事情により金額が変わってきます。主に、以下の状況により金額は変わります。

  • 勤続年数で金額が変わる
  • 自己都合か会社都合かで金額が変わる
  • 退職金にも税金がかかる

それぞれ解説していきます。

2-1. 勤続年数で金額が変わる

退職金は、勤続年数で算出される事が一般的です。とはいえ、その算出方法は企業により異なるため、具体的な数値は就業規則などで確認しないと分かりません。

3年以内の在籍期間では退職金の対象外となる可能性もあるため、該当しそうな場合は事前に退職金に関する規約を確認しましょう。

2-3. 自己都合か会社都合かで金額が変わる

会社を辞める理由が自己都合か会社都合かでも、貰える金額は変わる可能性があります。

転職 退職 金

出典:厚生労働省

この統計はあくまでも勤続20年以上の場合のデータにはなりますが、退職理由が自己都合の場合はかなり給付額が少ないことが分かります。

勤続年数が短い場合でも、やはり自己都合の退社の場合は給付額は下がる傾向にあると考え、注意が必要です。

3. 知っておくべき退職金トラブルと回避方法

「退職金が振り込まれない!」

など、退職金にはトラブルがないとは言えません。トラブルとしてあげられる中で最も多い例は、「退職金の未払い」です。

いつまで待っても退職金が支払われない場合は、以下の点について今一度確認してみましょう。

  • 退職金の対象かどうか確認する
  • 退職金支給時期を確認する
  • 競合他社への転職の場合

それぞれ解説していきます。

3-1. そもそも、退職金の対象なのか確認する

そもそも、自分が退職金の対象なのかを今一度確認してみましょう。

退職金制度のある企業でも、勤続年数や退職理由によっては退職金をもらえない場合も少なくありません。

退職金の対象となるかどうかは、働いている会社の就業規則で調べてみましょう。

3-2. 退職金支給時期を確認する

「退職してからもうすぐ半年なのに、退職金が入金されない…」

そんな事を思った場合も、すぐに就業規則の退職金規定を確認してください。退職金が支給される時期に関しても、企業によりまちまちです。

一般的には退職後半年以内に入金されることが多いですが、場合によっては1年ほどかかる事もあります。

3-3. 退職金不払いへの対処法

会社の就業規則をしっかりと確認し、退職金の支給対象者であるにも関わらず入金されていない場合には、何らかのトラブルの可能性があります。

まずは働いていた会社に問い合わせてみましょう。単なる手違いの場合は、すぐに対応してくれます。

退職の仕方などに問題があり、意図的に退職金の支払いをしていない場合には注意が必要です。

その場合、こちらから退職金の支給を請求してもスムーズに支払ってくれない可能性があるからです。

退職金が就業規則で認められている場合、懲戒解雇など一部の理由を除き、基本的には退職金を受け取る権利があります。その点を伝えても支給してもらえない場合は、法的処置に出ることも考えましょう。

明らかに就業規則に違反している場合には、労働基準監督署へ相談することで対応してくれる可能性もあります。

4. 退職金Q&A

ここからは、退職金についてよくある疑問をQ&A形式で解説していきます。

4-1. 転職時の退職金はいつもらえる?

退職金がもらえる時期は企業により様々ですが、一般的には退職してから1か月後~半年以内くらいで支給されます。ただし、1年程かかる企業もないとは言えません。

退職金がいつもらえるかについても、通常、就業規則に記載があります。気になる場合には就業規則の退職金規則を確認しましょう。

4-2. 企業年金は転職先で継続できる?

「確定給付型企業年金」と「確定拠出年金」は、転職先に移転する事も法律的には認められています。転職先が企業年金制度を設けている場合はそのまま継続して加入できる場合もある、ということです。

ただし、そもそも転職先が企業年金制度を設けていない場合は移転することはできません。また、会社の規定によっては移転が認められないケースもあります。

「基礎知識」の項目でも解説した通り、企業年金制度を取り入れている企業は4分の1程度と、やや少ないのが現状です。

転職後も企業年金加入を希望する場合には、転職先の企業での確認も必要となります。

5. まとめ

以上、転職時の退職金について解説してきました。

  • 退職金がもらえるかは会社の制度により異なる
  • 自己都合か会社都合かで異なる
  • そもそも、退職金制度を設けていない会社もある

以上をしっかりと理解したうえで、転職する場合にはなるべく損をしないように工夫しましょう。

貰える退職金はしっかり貰って、今後のキャリアや生活に役立てていきましょう!

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あなたが目指すべき
キャリアアップとは?

よりよいキャリアアップを目指して先々の計画を立てることをキャリアデザインと言います。
どのようなキャリアを積み、自分の人生に役立てていくかを、常日頃からイメージしておくとよいでしょう。
もちろん、無理してキャリアアップなどせずに平坦に暮らしていたいというのも、ひとつの考え方です。

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