
脱サラとは「起業や独立をしてサラリーマンを脱却すること」を指す言葉です。
脱サラすると雇用主からサラリー(給与)をもらえなくなるため、独立起業や開業といった手段を講じ、自分の力で新たな収入源を確保する必要があります。「起業」や「独立」といった言葉はとても魅力的ですよね。
マイナビ独立の調査によると、「独立・開業に興味がある」と回答した人の割合は、実に40.5%。
男性の割合は50.0%とさらに高く、とりわけ20~30代男性は55%以上が「独立・開業に興味がある」と回答し、脱サラに強い興味を持っていることが分かりました。
しかし、結論から言うと、脱サラをしても自由な時間が増えるとは限りません。
脱サラ後に成功できる人はほんの一握りで、多くの新設法人が、起業後わずか数年で倒産に追い込まれています。
もちろん、頭ごなしに「脱サラはおすすめしない」と否定するわけではありません。
脱サラには向き不向きがありますので、脱サラで成功を収めるポテンシャルをお持ちである可能性も大いにあります。
大切なのは、脱サラに踏み切る前に脱サラについて深く理解し、自分が脱サラに向いているかどうかを正しく把握することです。
この記事では、脱サラに関する以下の項目を詳しく解説しています。
- 脱サラという言葉の意味
- 脱サラ後の選択肢(脱サラ後の新しい働き方)
- 脱サラのメリット
- 脱サラのデメリット
- 数字で紐解く脱サラの現実
- 脱サラに向いている人・向いていない人
- 脱サラする際に押さえておくべき基本の3ポイント
- 今の環境から抜け出す脱サラ以外の選択肢
脱サラについて興味がある、自分が脱サラに向いているか知りたいという方は、ぜひこの記事を最後までご覧ください。
目次
1.脱サラとは「起業や独立をしてサラリーマンを脱却する」こと

脱サラ
サラリーマン暮らしをやめ、自分(たち)で事業をする生活に移ること
―Oxford Languagesの定義より引用
冒頭でもお伝えしたとおり、脱サラとは雇用主からサラリー(給与)をもらって生活する立場から脱却し、雇用主に依らない収入源を手に入れることを指す言葉です。
1971年の日本で大流行し、当時、戦後日本経済を支えた企業戦士の多くが脱サラに踏み切りました。
もちろん、ただ雇用先を辞めるだけでは脱サラとは言えません。雇用先を辞め、起業や独立といった「新たな収入源を得るための具体的な行動」を取ることこそが脱サラです。
この「新たな収入源を得るための具体的な行動」とはどのようなものでしょうか。
代表的な4つの選択肢を見てみましょう。
1-1.脱サラ後の主な選択肢は「起業・個人事業主・開業・農業」の4つ
脱サラ後の主な選択肢は、「起業・独立・開業・農業」の4つ。
それぞれについてイメージしやすいように、具体例を交えつつ解説していきます。
1-1-1.独立・起業して経営者になる
脱サラ後、独立・起業して経営者になった例
- 長らく広告代理店に勤務した知識を活かし、SNS広告特化の広告代理店を立ち上げた
- 美容サロン勤務時代の経験をもとに、美容グッズの販売会社を始めた
- 異業種交流会で知り合った人と意気投合し、まったく新しい事業をスタートさせた
元の雇用先から独立し、何らかの事業を起こして経営者になるという選択肢がこちら。
法人として活動するという点で、後述する「個人事業主・開業」と大きく異なります。興す事業内容に縛りはありません。
前職で培った経験を活かすもよし、まったく新しいビジネスに飛び込んでみるもよし。「いち社員」ではなく「経営者」として臨む新しい事業は、きっとあなたをワクワクさせることでしょう。
1-1-2.独立して個人事業主になる
脱サラ後、独立して個人事業主になった例
- 前職勤務中に資格を取得し、行政書士として個人事務所を構えた
- 得意であったイラストの腕を活かし、フリーランスのイラストレーターとして活動を始めた
- 税務署から独立して税理士となり、念願であった個人事務所を構えた
独立後、法人としてではなく個人事業主として働くという選択肢もあります。
組織に属さない「フリーランス」としての働き方も定着しつつある昨今。
2016年以降、フリーランスの数は5年連続で1,000万人を超えており、脱サラしてフリーランスデビューを果たす人が増えていることが伺えます。
参考:「【ランサーズ】フリーランス実態調査2020年版」より
1-1-3.フランチャイズ店や個人商店などを開業・相続してオーナーになる
脱サラ後、開業してオーナーになった例
- 地元に出戻り、実家が経営していた旅館を引き継いでオーナーになった
- 趣味のプラモデル好きが高じ、プラモデルの専門店をオープンした
- 大手コンビニ本部とフランチャイズ契約を結び、コンビニオーナーとなった
独立後、何らかの店舗を開業するというこちらの選択肢です。
ご実家が自営業の場合、脱サラして店舗オーナーを引き継ぐということもあるでしょう。脱サラして飲食店をオープンするのもこちらのパターンに当てはまります。
脱サラ後にオープンしたラーメン屋が大ヒットした、などのニュースを目にする機会もあるため、脱サラ後の選択肢として比較的イメージしやすいのではないでしょうか。
1-1-4.農業従事者になる
脱サラ後、農業従事者になった例
- トマト農家の親が腰を悪くしたため、脱サラしてトマト農家になった
- 無農薬野菜への興味が高じ、農地を借りて無農薬栽培を始めた
農業従事者は、個人事業主として農業に携わるケースと、農業法人に就職するケースの2パターンに分かれます。
後者の場合は農業法人から給与を受け取る形になり、脱サラの定義には当てはまりませんので、この記事でいう農業従事者とは「個人事業主として農業に携わる」人を指します。
2009年度から2014年度の5年間では移住者数が5倍に激増するなど、地方に移住する人が年々増加傾向にある昨今。
地方移住後、農家として大きな成功を収める人も増えており、脱サラ後の魅力的な選択肢として注目が高まっています。
2.脱サラをする3つのメリット

さまざまな選択肢と可能性を秘めた脱サラ。この段落では、そんな脱サラのメリットを3つご紹介します。
「脱サラに興味はあるけれど、具体的にどんなことができるのかは分からない」
「脱サラのメリットって、本当に自分が求めているものに合致するのかな?」
脱サラをすることで得られるメリットについて詳しく解説しますので、ご自身が脱サラをするかどうかの参考材料としてお役立ていただけます。
それでは、早速見ていきましょう。
2-1.「本当にやりたいこと」に従事できる
脱サラ最大のメリットは「本当にやりたいこと」を仕事にできるという点にあります。
サラリーマンとして企業に所属していると、ほとんどの人が「やりたくない仕事」にぶつかります。
あるいは、日々「やりたくない仕事」に従事せざるを得ず、悶々とした気持ちを抱えている方だっていらっしゃるかもしれません。今の仕事もやりたいことには近いものの、どこか物足りなさを感じている方もいらっしゃるでしょう。
脱サラすれば、すべての決済権と責任はあなたに委ねられます。つまり、あなたの責任のもと、あなたが本当にやりたいことをビジネスにすることができるのです。
自由とやりがいを手に、思う存分夢を追うことができる。それこそが、脱サラ最大のメリットです。
2-2.雇用主が定めた規則(就業時間や場所など)に従わなくていい
サラリーマンである以上、ほとんどの人が、毎朝決まった時間に決まった場所へと出社しなければなりません。
疲れた体を満員電車に押し込み、人とぶつかりつつ長時間の揺れに耐える日々は、誰だって嫌気がさすものです。
脱サラすれば、就業時間やオフィスの場所を自分で決めることが可能になります。自宅がオフィスになる場合もありますし、「働きたいときに働く」という夢のような生活が手に入ることもあるでしょう。
雇用主が定めた規則から自由になり、自分が望むように働けるという点も、脱サラの大きなメリットえす。
2-3.雇用先の人間関係に悩む必要がなくなる
エン転職が行った『1万人に聞く「職場の人間関係」意識調査』によると、84%もの人が「職場で人間関係に難しさを感じたことがある」と回答。
雇用先における人間関係がいかに人を悩ませるか、という事実が明らかになりました。脱サラをすれば、今の雇用先の面倒な人間関係ときれいさっぱり手を切ることができます。
生理的に合わない先輩や直属の上司と毎日顔を合わせることもありません。個人で働くかたちを取れば、脱サラ後の人間関係を最小限に抑えることもできます。
3.脱サラをする7つのデメリット

もちろん、脱サラについてくるのは魅力的なメリットだけではありません。
インターネット上には、メリットを書き立てて脱サラを促すような記事も多く存在しますが、脱サラは大きなデメリットも伴います。
脱サラのデメリットは、もしかするとあなたが考えているよりずっと重いかもしれません。この記事では、脱サラのデメリットもすべて正直かつ具体的に記載しています。
本当に脱サラすべきかどうかをメリットだけでなくデメリットも頭に入れて、今一度しっかり考えてみましょう。
3-1.安定・継続した収入を得られるとは限らない
脱サラにおける最大のデメリットは、給与がなくなるということです。
企業に所属している間は、毎月、安定した額の給与を雇用主から受け取ることができました。
しかし、脱サラしてしまうと、あなたの報酬をあなた自身で稼ぎ出さなければならなくなります。
事業が安定するまでの間、あるいは時間をかけても軌道に乗せられなかった場合は、無収入となってしまう恐れがあります。それどころか、人件費や物件・店舗の賃貸料など、事業に必要な諸経費ばかりがかさんでしまい、大赤字となってしまう可能性だってあるのです。
時折、脱サラ後、新たに始めた事業で華々しい活躍をする人のニュースを見かけることがありますが、そうした成功者はごくわずかです。
脱サラ後、安定・継続した収入を得ることがどれほど難しいかは、本記事内の「4.数字で紐解く脱サラの現実!経過年数別のリアルな生存率など」にて詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
3-2.起業などにあたって膨大な資金が必要となるケースも
新しい事業を始めるにあたっては、多くの場合、膨大な資金が必要となります。
日本政策金融公庫総合研究所が発表した「2019年度新規開業実態調査」によると、2019年度の開業費用の平均値は1,055万円。中央値は600万円となりました。
また、開業時の資金調達額は平均で1,237万円となり、このうち21.2%にあたる262万円を自己負担で賄っていることも分かりました。
農業を始めるにあたっても、やはり一定の資金が必要となります。
全国新規就農相談センターが発表した「新規就農者の就農実態に関する調査結果 -平成28年度-」によると、就農1年目に要した営農面での費用は平均して569万円となりました。
機械・施設等への費用が411万円と大半を占めており、残る158万円は種苗・肥料・燃料等への費用となっています。
もちろん、事業内容や働き方によって、必要となる開業資金には大きな差が生まれます。手持ちの機材などを活かしてフリーランスとして働く場合など、初期費用がほとんどかからないケースもあるでしょう。
しかし、事業を興したり店舗を開業したり、農業を始めたりするためには、必ず一定の資金が必要となることを忘れてはなりません。
3-3.融資元の確保や物件契約、人材確保など、やるべきことは膨大
脱サラして新たに事業を始めるには、膨大な手続きを済ませる必要があります。
法人企業を設立する場合を例にとって見てみましょう。
法人企業設立に際して必要となる手続き(一例)
- 事業計画書の作成
- 開業資金の調達
- 基本事項(屋号・本店所在地・目的など)の決定
- 物件契約
- 企業の運営・宣伝に必要なもの(印鑑・ホームページ・名刺など)の準備
- 定款の作成・認証
- 資本金の払い込み
- 法務局への登記申請
- 税務署や市区町村、年金事務所などへの各種届出
- 人材雇用 etc…
ざっと挙げただけでも、これだけの手続きが必要となります。
それぞれの手続きにも複雑なものが多く、専門家の助けを借りる必要がある場合も。
個人事業主・開業・農業といった他の選択肢においても、複雑さに差はあれど、面倒な手続きが発生することに変わりはありません。
どんな手続きが必要かを教え導いてくれる存在もいませんので、こうした情報はすべてあなたが調べなければならないこともお忘れなく。
3-4.事業が安定するまでの期間を支えるために貯金が必要
脱サラ後、すぐに事業が安定すれば問題ありませんが、なかなかそううまくはいきません。
事業が安定し、定常的にまとまった額の報酬を得られるまでの間は、貯金を切り崩すなどして生活費や諸経費を工面する必要があります。
ビジネスの現場にはいつ何が起こるか予測できないため、不測の事態に備え、余裕をもった貯金額を確保しておくことが望ましいでしょう。
収益を安定させるためには、何度もトライアンドエラーを繰り返し、「できること」と「やるべきこと」を明確にすることが大切です。
freee株式会社によると、こうした考えを確立するだけでも平均して4年もの期間が必要になるといいます。
考えを確立するだけでも4年かかるわけですから、収益を安定させるには、さらに長い時間が必要になると予測されます。
こうした期間を乗り切れるだけの貯金額は確保できているでしょうか?脱サラ前に、今一度ご自身の貯金額を振り返ってみましょう。
3-5.確定申告などの複雑な税務処理を自分でこなさなければならない
これまでは雇用先が行ってくれていた複雑な手続きも、脱サラ後はすべて自分でこなさなければなりません。
その代表的なもののひとつが確定申告です。今は、確定申告をするために便利なソフトやサービスが多数登場しています。
顧問税理士を雇うなどし、複雑な税務処理を代行してもらうこともできます。しかし、ソフトや税理士の選定はもちろんあなたの仕事。
また、最終的な税務処理は任せられたとしても、そのために必要な情報を集めておくのもあなたです。脱サラのメリットにばかり目を向けてしまい、こうした情報を疎かにしていたら……。
知らず知らずのうちに滞納してしまい、財産を差し押さえられでもしたら目も当てられません。
3-6.事業パートナーや従業員雇用など、さらに複雑な人間関係に悩まされる可能性も
人の営みが個人間で完結することは滅多にありません。
ビジネスにおいても同様ですから、たとえ脱サラしても、完全に人間関係から抜け出せるとは限りません。
とりわけ、起業や開業をして従業員を雇用すると、従業員同士のトラブルにも関わらなければならなくなります。
以前までは自分の周りの人間関係だけを心配していればよかったところが、脱サラ後は、あなたの責任が及ぶ範囲すべての人間関係に気を回さなければならなくなるのです。
農業に従事していると、田舎特有の狭い人間関係に悩まされることもあるでしょう。たとえ個人で働いていたとしても、取引先から理不尽な要求を突きつけられることだってあるかもしれません。
脱サラ後の人間関係は、万が一悪化してしまうと、ビジネスそのものに影響を及ぼしかねません。
決して「脱サラすれば人間関係のしがらみから開放される」というわけではなく、より複雑で深刻な人間関係に悩まされる可能性も考慮しておきましょう。
3-7.体調不良も分からないこともすべて自分に責任が降りかかる
企業に勤めているうちは、ほとんどの場合、年に何日かの有給休暇が与えられます。
しかし、脱サラ後にはこうした制度がなくなるため、自分で仕事と休暇のバランスを取らなければならなくなります。
どれほど体調が悪かったとしても、納期が迫っていればおちおち寝ていることもできません。農作物の収穫期とかぶっていたら、大切な友人の結婚式に出席できないかもしれません。
休みの調整だけではなく、「分からないこと」もすべてあなたが解決しなければならなくなります。これまでは、分からないことがあっても、周囲の誰かに質問すればなんとかなったことでしょう。
しかし、脱サラ後はそうもいきません。脱サラすれば、ワークライフバランスもすべてあなたの責任となります。
大きな自由が与えられると同時に、大きな責任も課せられるというわけです。
4.数字で紐解く脱サラの実情

この段落では、実際の数値をもとにしたファクトベースで、脱サラの実情を見ていきます。
毎年どれだけの人が脱サラに踏み切り、どれだけの人が苦い挫折を味わっているのか。
数字によって紐解かれた実情を、本当に脱サラすべきかどうかの判断にお役立てください。
取り上げている数字は以下のとおりです。
早速見ていきましょう。
4-1.新設法人数の推移は増加傾向
まずは新設法人数の推移を見てみましょう。
2010年以降、新設法人数は右肩上がりに伸びています。
2018年と2020年(1-8月速報値)は前年を下回る見込みですが、2020年は新型コロナウイルスの蔓延による影響もあると考えられます。
もちろん、これらの新設法人すべてが脱サラによるものとは限りませんが、新たに事業を興す人は年々増加傾向にあることが分かります。
東京商工リサーチ発表の「2019年「全国新設法人動向」調査」および「2020年1-8月「全国新設法人動向」調査(速報値)」のデータを当社にてまとめたものが以下です。

2019年(131,292社)は、9年前の2010年(99.864社)と比べて131%もの新設法人が設立されています。
2020年以降、数年はコロナウイルスによる落ち込みがあると想定されますが、それ以降は再び右肩上がりに増加していくことが予測されます。
4-2.休廃業・倒産企業の推移も増加傾向
続いて、全国で休廃業・解散した起業(休廃業企業)の推移を見てみましょう。
2013年以降、倒産数は減少傾向にありますが、休廃業・解散数が増加しており、休廃業・倒産企業全体の数は大きく伸びてしまっています。
※「休廃業・解散」は、倒産(法的整理、私的整理)以外で事業活動を停止した企業を指す。
このうち、半数に迫る割合を、業歴20年未満という若い企業が占めています。
その割合は、実になんと49.4%。
2019年の48.2%から1.2ポイント増加しており、近年、若い企業の休廃業・倒産数が伸びていることが分かります。
満を持して起業したものの、事業を軌道に乗せることができず、休廃業・倒産という苦しい決断を下さざるを得ない人がどれほど多いかをご理解いただけたかと思います。
これらのデータも東京商工リサーチによる「2020年「休廃業・解散企業」動向調査」に基づいたものです。
倒産数、休廃業・解散数、休廃業・倒産合計の順に見ていきましょう。



2020年の休廃業・倒産合計社数は57,471社。
このうち、業歴20年未満の若い企業はおよそ28,391件(全体の49.4%)となります。
休廃業・倒産合計社数は、2013年(45,655社)から2020年(57,471社)の7年間で約126%も増加しており、新設法人数が増加傾向にあるものの、それに迫る勢いで休廃業・倒産企業も増えていることが分かります。
4-3.新設法人の約7割が10年以内に廃業する
中小企業庁発表による「中小企業白書 2006年版」のデータをもとに、法人・個人事業所の経過年数別生存率を算出しました。
まずは法人における経過年数別生存率をご覧ください。
| 経過年数別生存率 | 法人生存率 | |
| 1年目 | 79.6% | 79.6% |
| 2年目 | 87.6% | 69.7% |
| 3年目 | 90.0% | 62.8% |
| 4年目 | 91.0% | 57.1% |
| 5年目 | 92.2% | 52.7% |
| 6年目 | 92.4% | 48.7% |
| 7年目 | 92.7% | 45.1% |
| 8年目 | 92.4% | 41.7% |
| 9年目 | 92.6% | 38.6% |
| 10年目 | 93.1% | 35.9% |
- 経過年数別生存率とは
「設立○年目の法人が、○年目の年に休廃業・倒産していない割合」のこと。
○年目という「1年間という期間における生存率」という点で、後述する法人生存率と異なります。
たとえば、法人における2年目の経過年数別生存率は87.6%。「設立2年目の法人が、2年目の年に休廃業・倒産していない割合=87.6%」ということになります。
- 法人生存率とは
「設立○年目の法人が、○年目までに休廃業・倒産していない割合」のこと。
「設立1年目~○年目までの期間における生存率」という累積数値となりますので、前述した経過年数別生存率よりも低い値となります。
たとえば、2年目における法人生存率は69.7%。
これは「設立1年目~2年目の期間に休廃業・倒産していない割合=69.7%」ということです。
創業1年目の生存率は79.6%。
裏を返せば、起業した10人のうち2人は、起業後1年足らずで廃業に追い込まれているということです。
さらに5年で約半数が、10年で7割近い企業が廃業に至っており、事業を安定させることの難しさが伺えます。
その一方で、創業後3~4年目以降の生存率は90%以上で安定するようになっていることから、以下のことも分かります。
- 事業を安定させるためには、少なくとも創業後3~4年は必要
- 一度事業を安定させられると、生存率を高く保つことができる

出典:第1-2-21図 開業年次別 事業所の経過年数別生存率
4-4.個人事業所は約4割が設立年内に廃業してしまう
続いて、個人事業所における経過年数別生存率を見ていきましょう。
法人同様、データは「中小企業白書 2006年版」をもとに作成しています。
| 経過年数別生存率 | 個人事業所生存率 | |
| 1年目 | 62.3% | 62.3% |
| 2年目 | 75.9% | 47.3% |
| 3年目 | 79.5% | 37.6% |
| 4年目 | 81.2% | 30.5% |
| 5年目 | 83.8% | 25.6% |
| 6年目 | 83.5% | 21.4% |
| 7年目 | 85.2% | 18.2% |
| 8年目 | 85.7% | 15.6% |
| 9年目 | 86.0% | 13.4% |
| 10年目 | 86.8% | 11.6% |
個人事業所の生存率は法人よりもさらに厳しく、立ち上げ初年度の生存率は62.3%という結果に。
つまり、個人事業所を立ち上げた10人のうち4人近くは、設立年内に廃業。
5年目には7人以上が廃業に追い込まれ、10年目に残っている事業所はわずか1件という計算になります。
経過年数別生存率も、どの年を見ても法人よりも水準が低く、個人事業所の運営を安定させることの難しさを物語っています。創業7年目にしてようやく生存率を85%台に乗せることができていますが、それでも毎年15%近くの事業所が廃業に至っていることが分かります。

出典:第1-2-21図 開業年次別 事業所の経過年数別生存率
4-5.業種によっては廃業事業所数が新設事業所数を上回ることも
店舗の開業、および就農に踏み切った場合はどうなのでしょうか。
大枠にはなりますが、総務省統計局による「平成18年事業所・企業統計調査」のデータを見てみましょう。

出典:表I-6 産業大分類別新設事業所数、廃業事業所数(民営、平成18年)
赤枠部分の「農林漁業」「卸売・小売業」「飲食店・宿泊業」をご覧ください。
農林漁業の新設事業所数は4,559件。一方で、同年の廃業事業所数は4,198件となっています。
新たに就農する方も一定数いるなかで、廃業を選ぶ農家の方も多いことが伺えます。
卸売・小売業の新設事業所数は351,975件。一方で、同年の廃業事業所数は537,745件。
飲食店・宿泊業の新設事業所数は241,699件。一方で、同年の廃業事業所数は317,089件。
これらの2産業においては、新規開業する店舗が非常に多いものの、それを上回る数の店舗が廃業に追い込まれていることが分かります。
4-6.フリーランス人口は5年連続1,000万人超も、個人事業主数は減少が続く
次に、個人事業主の推移を見てみましょう。
先に結論を言うと、個人事業主数が減少の一途をたどる一方で、フリーランス人口は5年連続で1,000万人を超えており、高い水準で横ばいを続けています。
以下の図は、中小企業庁による「2019年版 小規模企業白書」内の図です。

続いて、ランサーズによる「【ランサーズ】フリーランス実態調査2020版」によるデータを見てみましょう。

これで見ると、2016年時点のフリーランス人口はすでに1,000万人を超えており、中小企業庁調べによる個人事業者数(198万人)を大きく上回っています。
これは、ランサーズが定義している「フリーランス」には「特定の企業に所属しつつ、副業としてフリーランス活動をしている人」も含まれており、こうした人が67%を占めているためです。
個人事業主を含む「自営業系独立オーナー(個人・法人経営者)」は、全体の28%に留まっています。
脱サラして個人事業主になるのは、リスクもハードルも高いもの。そのため、脱サラという思い切った手段に出るのではなく、副業フリーランスという形を選ぶ人が増えているのかもしれません。
5.脱サラが向いている人・向いていない人
ここまで、脱サラのメリット・デメリットや数字から見る実情をもとに、脱サラの実態を詳しく見てきました。
年々増加する休廃業・倒産数や、法人・個人事業所の経過年数別生存率が物語っているとおり、脱サラは決して易しいものではありません。
しかし、こうした数字をもとに「脱サラはおすすめしない」と断言するわけではありません。
物事にはなにごとも向き不向きがあるように、脱サラにも向き不向きがあるからです。脱サラに向いた素質を備えた人であれば、厳しい現状のなかでも、脱サラをして大きな成功を収められるかもしれません。
この段落では、そんな「脱サラへの向き不向き」を解説しています。それぞれを表にまとめましたのでご覧ください。
それでは「脱サラに向いている人」から詳しく見ていきましょう。
5-1.脱サラに向いている人
以下の素質を備えた人は、脱サラに向いているといえます。
- ビジネスに活かせるユニークなスキルを持っている
- 新しく始めるビジネスに明確なビジョンと目的があり、資金繰りなどの具体的な部分まで人に説明できる
- 自己投資や事業に投資するための貯蓄がある
- 体調・モチベーション維持などの自己管理が得意だ
- 目的のためなら、どんな苦難にでも立ち向かう情熱がある
- コミュニケーション能力が高く、自らを売り出すことに自信がある
もちろん、すべての素質を備えている必要はありません。
たとえ「ビジネスに活かせるユニークなスキル」を持っていなかったとしても、そうしたスキルを持った人材を雇用すればいいだけです。
「投資するための貯蓄」がなかったとしても、無理のない資金計画さえ立てることができれば、事業をスタートすることができます。
この中で絶対に欠かせないのは、以下の3つです。
- ビジネスの明確なビジョンと目的
- 体調およびモチベーションの維持
- どんな苦難にでも立ち向かう情熱
この3点だけは、自分の中でしっかりと確立させておく必要があります。
スキルや資金のように、誰かに支え補ってもらえる部分ではありません。
もしもあなたが「こんなことがやりたい!」と強く思うことがあるとして、その事業を行う必要性や他社との優位性など、やりたいことの裏側までを説明することができますか?
脱サラ後のビジネス現場は苦難の連続ですが、情熱を絶やさず、体調・モチベーションを維持し続けることができますか?
そうした素質を備えているのであれば、あなたは脱サラに向いていると言えるでしょう。
5-2.脱サラに向いていない人
一方で、こんな素質を備えた人は、脱サラにあまり向いていません。
- 上からの要望に正しく応えるスキルを持っている
- 起業への憧れはあるが、具体的なイメージは持っていない
- 金銭的な余裕はあまりない
- ワークライフバランスがうまく取れず、体調を崩しがち
- 目的への道が困難であると分かれば、目的地自体を変更したり、時には諦める柔軟性を持っている
- コミュニケーションはあまり得意でなく、自己主張はしないほうだ
こうした素質をお持ちの人は、企業の一員として働いてこそ最大の価値を発揮することができるでしょう。
もし「どうしても脱サラしたい!」という思いが強いのであれば、せめて前述した3点が整うまで待つことをおすすめします。
この3点の素質は、たとえ今は備わっていなかったとしても、いずれ「絶対に成し遂げたいこと」に出会ったときに開花する可能性があります。
- ビジネスの明確なビジョンと目的
- 体調およびモチベーションの維持
- どんな苦難にでも立ち向かう情熱
もし、現時点でこれらの素質が備わっていないのであれば、今はまだ脱サラすべき時ではないということ。
焦りや勢いで脱サラしても、良いことは何一つとしてありません。今は「将来脱サラするための準備期間」であると思い、腰を据えてじっくり今後のことを考えましょう。
6.絶対に脱サラしたい!そんな時は3つのポイントを必ず押さえて

「脱サラに向いている人」が備えているべき素質は、あなたにも備わっていたでしょうか?
もし、脱サラ向きの素質を備えており、脱サラのデメリットや厳しい実情を知ったうえで「それでも脱サラしたい!」という強い意思をお持ちであれば、ぜひこの段落をご覧ください。
この段落では、脱サラ前に押さえておくべき基本的な手順や、少しでも成功率を高めるためのポイントをご紹介しています。
基本的な手順は以下のとおりです。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
6-1.脱サラ後の事業計画を明確にする
まずは脱サラ後の事業計画を明確にしましょう。
- 事業計画とは
- 事業計画( じぎょうけいかく、英語: Business plan)は事業の達成目的、目標、達成する計画・過程を示した公式のステートメントまたはその文書のこと。その目的を達成しようとする組織の概要や背景、 戦略などの情報を含む場合もある。
事業計画は、脱サラ後のあなたの行動指針の根幹となるものです。
金融機関からの融資を必要とする場合、融資審査における重要な判断材料にもなります。
最低でも、以下の10項目は明確に説明できるようにしておきましょう。
- 創業者・創業メンバーのプロフィール
- ビジョン・理念・目的
- 事業内容
- 自社のサービスや商品の強み・特徴
- 市場環境・競合について
- 販売やマーケティング戦略
- 生産方法・仕入れ先など
- 売上に関する計画
- 利益に関する計画
- 資金調達に関する計画
こうした項目は、6W2Hに基づいて考えればまとめやすいでしょう。
| 6W2H | 端的な説明 | 事業計画において考えるべきこと |
| What | 何を | 商品・サービスの具体的な説明 |
| Why | なぜ | この事業を行う意味・意義 |
| Where | どこで | どの市場において事業を展開するのか |
| Whom | 誰を対象に | その市場のどんな層に向けた商品・サービスなのか |
| When | いつ | どのようなタイミングで事業を行うのか |
| Whom | 誰が | この事業を行うためにどんなスキル・経験をもった人材が必要か |
| How to | どのようにして | 競合優位性や独自性はどのようにして創出するのか |
| How much | どれくらい | 資金や売上高、利益目標は |
6-2.脱サラ後の資金計画を立てる
かなり大枠にはなりますが、資金計画は以下の手順で考えます。
- 現状の生活費の洗い出し
- 事業を開始するにあたって必要な開業資金の洗い出し
- 事業を継続するにあたって必要な運用資金の洗い出し
- 必要となる毎月の売上目標の設定
脱サラ後の事業安定・継続のためには、考え抜かれた資金計画が必要不可欠です。
ここを疎かにして資金繰りがうまくいかなくなると、いくら見込みのある事業だったとしても、早々に立ち行かなくなってしまいます。
資金計画や事業計画の立て方については、詳しく解説された専門書が多数発売されています。
脱サラを考えるのであれば、まずは専門書を熟読してみるのもおすすめです。
6-3.事前にできる必要手続きを済ませる
脱サラをして事業を始めるには、膨大な手続きが必要となります。
手続きの一例は以下のとおりです。
- 国民健康保険への切り替え
- 年金の種別変更・国民年金基金への加入
- 小規模企業共済への加入手続き
- 受給資格者創業支援助成金の申請準備
- 法人登記・個人事業主の開業届の準備
- 確定申告の準備 etc…
これらすべての手続きを脱サラ後に行うとなると、とても手が回りません。
企業に勤めながらでもできる手続きは、先々のうちに済ませておくといいでしょう。
7.今の会社に満足できないのであれば、脱サラでなく転職・副業という選択肢も

マイナビ独立が行った【2020年版】独立・開業に対する意識調査によると、独立・開業を考えたきっかけは以下のようになりました。
これらの希望・不満を解決する方法は、なにも脱サラだけに限りません。
希望を満たす新しい職場に転職したり、やりがいを感じられる副業を始めてみるのも選択肢のひとつです。企業に所属している以上多くの制限が課せられますが、あなたを守ってくれる制度もたくさんあります。
安易に脱サラという方法に飛びつかず、よりよい環境で働くための方法をじっくり考えてみるようにしましょう。転職するのであれば、無料で利用できる転職エージェントの活用がおすすめです。
転職エージェントであれば以下のように、転職をサポートするための幅広いサービスを受けられるので、あなたの希望に沿った職場を見つけやすくなります。
- 企業との調整や交渉を代行してくれる
- 非公開の求人を紹介してもらえる
- 市場を知る転職のプロに相談できる
- 面接対策や履歴書の添削をしてくれる
転職エージェントの仕組みや転職サイトとの比較などは転職エージェントとは?無料で使える仕組みと使うべき人の特徴まとめで詳しく解説しています。
「とにかく職場のストレスを軽減したい!」という方には、楽になる!職場の人間関係を円滑にする方法8つ【最悪な場合の対処法付き】もおすすめです。
この記事では、どんな職場でも使える「人間関係を円滑にする8つの方法」をご紹介しています。
- 挨拶をしっかりする
- できるだけ笑顔でいる
- 感謝の気持ちを伝える
- 感情的にならない
- 率先して行動する
- 深入りしない
- 分からないことは質問する
- ビジネスマナーを守る
また、人間関係に振り回されないため有効な「気持ちが楽になる5つの考え方」もご紹介しています。
- 職場は仕事をするところと割り切る
- 誰からも好かれる人になる必要は無い
- 職場の人間関係は一時的なもの
- 職場よりもプライベートの人間関係の方が大切
- どこにでも相性の悪い人がいる
記事内では、それぞれのポイントについて詳しく解説しています。人間関係がつらくて脱サラを考えているという方は、ぜひ併せてご覧ください。
8.まとめ
今回は、脱サラについておまとめしました。内容を振り返ってみましょう。
- 脱サラとは「起業や独立をしてサラリーマンを脱却する」こと
- 脱サラ後の主な選択肢は「起業・個人事業主・開業・農業」の4つ
- 脱サラのメリットは以下の3つ
- 「本当にやりたいこと」に従事できる
- 雇用主が定めた規則(就業時間や場所など)に従わなくていい
- 雇用先の人間関係に悩む必要がなくなる
- 脱サラのデメリットは以下の7つ
- 安定・継続した収入を得られるとは限らない
- 起業などにあたって膨大な資金が必要となるケースも
- 融資元の確保や物件契約、人材確保など、やるべきことは膨大
- 事業が安定するまでの期間を支えるために貯金が必要
- 確定申告などの複雑な税務処理を自分でこなさなければならない
- 事業パートナーや従業員雇用など、さらに複雑な人間関係に悩まされる可能性も
- 体調不良も分からないこともすべて自分に責任が降りかかる
脱サラに関する数字からは、脱サラ後の過酷な現実も見えてきました。
- 毎年多くの法人が新設されているが、休廃業・倒産企業も増加している
- 飲食店や小売・卸売業など、年間の開業数より廃業数の方が多い業種も
- 法人の生存率は【1年目:79.6% 5年目:52.7% 10年目:35.9%】
- 個人事務所の生存率は【62.3% 5年目:25.6% 10年目:11.6%】
どうしても「脱サラしたい!」という方は、以下の項目に当てはまるかを考えてみましょう。
- ビジネスに活かせるユニークなスキルを持っている
- 新しく始めるビジネスに明確なビジョンと目的がある
- 自己投資や事業に投資するための貯蓄がある
- 体調・モチベーションなどの自己管理が得意だ
- どんな苦難にでも立ち向かう情熱がある
- コミュニケーション能力が高く、自らを売り出すことに自信がある
脱サラは、決して思いつきや勢いで踏み切っていいものではありません。
この記事が脱サラの現実を知るきっかけとなり、脱サラについて深く考える機会につながりましたら幸いです。




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