転職時の給与交渉完全ガイド|成功するための具体策やポイントを解説

転職時の給与交渉完全ガイド|成功するための具体策やポイントを解説

「転職するときの給与交渉ってアリなの?」
「転職時に給与交渉したいけど、どうしたらよいのかわからない」

転職時の給与交渉が気になりながらも、自分にもできるのか・どのようにするのかという疑問をお持ちではありませんか?

結論からいうと、転職時に給与交渉することは可能であり、交渉によって希望の年収を得られる可能性はあります。

ただし、転職時の給与交渉は、タイミングや切り出し方を誤ると不採用になったり転職先の心証を損なうリスクもある諸刃の剣です。

そのため、転職時に給与交渉をする場合には、しっかりと準備をした上で戦略的に実行することが不可欠なのです。

そこでこの記事では、以下について詳しく解説します。

▼転職時の給与交渉の可能性とリスク

▼転職時に給与交渉するやり方3ステップ

▼転職時の給与交渉を成功させるポイント

▼転職時の給与交渉におけるNG行動

この記事を読むことで、転職時の給与交渉において大切なことと具体的な方法がわかり、実行に向けて動き出すことができるようになります。なぜなら、転職時の給与交渉について必要な知識全般が得られるからです。

収入面でも満足できる転職を実現するために、ぜひ最後までお読みください。

目次

1. 転職時に給与交渉はできる

転職時に給与交渉はできる

転職時に給与交渉をすることは、基本的に可能です。

働く条件について意見を述べるのは労働者の当然の権利であり、企業側も優柔な人材を確保するためには給与交渉を容認する必要があるためです。

多くの企業では、経験年数や役職に応じた支給額を規定する給与テーブル(賃金表)があり、転職者は給与テーブルのどこに当てはめられるかによって給与額が決まります。

このとき、転職者が身に付けているスキルや期待できる貢献度などによっては、給与の支給額を増やしてもらえる場合があります。

そのため、「入社後どのくらい貢献できるのか」ということを明確に説明できるのであれば、企業側から最初に提示された額よりも高い給与を得るのは不可能なことではないのです。

2. 転職時の給与交渉は慎重にしなければ失敗する

転職時の給与交渉は慎重にしなければ失敗する

転職時に給与交渉することは可能ですが、慎重に行わなければ失敗する危険性があります。

起こりうる失敗としては、「結局は希望額が得られない」「転職先の心証が悪くなる」が考えられます。

それぞれについて解説していきましょう。

2-1. 希望額の給与が得られないかもしれない

全国就業実態パネル調査2020」によると、転職1年後に年収が10%以上増えた人の割合は31.5%だとされています。また、年収に変化がなかった人は15.4%、10%以上減った人は41.3%でした。

このことからわかるのは、「転職によって年収を増やすことは簡単ではなく、現状維持も当たり前ではないばかりか、減ることも珍しくはない」ということです。

そのため、まずは転職時の給与交渉の成功率はあまり高くないということを受け止める必要があります。

また、年収の内訳をしっかりと把握し、各種手当の状況も確認した上で給与交渉をしなければ、「見込み残業代を含んだ年収を提示されていた」「前職でもらえていた類の手当が全てなくなった」などによって結局は年収が下がってしまうという事態に陥る可能性もあるため、注意が必要です。

給与交渉に限らず転職で年収を増やすことの全体像について知りたい方は、「転職で年収アップする人の傾向|年収アップさせる方法や注意点を解説」をご覧ください。

2-2. 転職先の心証を損なうかもしれない

転職時の給与交渉が可能だとはいえ、給与のことばかり話題にしたり、明確な根拠がないまま交渉すると、転職先に「お金のことしか考えていない」と思われてしまう可能性があります。

給与交渉の適切なタイミングはケースによって異なりますが、面接時に心証を損なえば不採用になるかもしれません。また内定後では、これから一緒に働いていくための人間関係にひびが入りかねないのです。

そのため、給与交渉のやり方や注意点について、しっかりと理解した上で実行することが大切です。

3. 転職時に給与交渉するやり方3ステップ

転職時の給与交渉は慎重に進めなければならないということを理解できたところで、どのように行えばよいのかという方法を確認しましょう。

転職時の給与交渉は、以下の3ステップで進めていきます。

転職 給与 交渉

まずは給与交渉の準備として、現在の給与の内訳や交渉で希望する金額、交渉の根拠にできることなどを明らかにします。

次に、いつ給与交渉をするかというタイミングを決めます。最適なタイミングは、ケースによって異なるためです。

そして、決めたタイミングで切り出し方・伝え方に配慮しながら給与交渉を行うという流れになります。

次の章から、各ステップの具体的な内容について解説していきます。

4.【STEP1】給与交渉に必要な準備をする

【STEP1】給与交渉に必要な準備をする

最初のステップでは、給与交渉をするために必要な準備を行います。

必要な準備とは、現在の給与の内訳を正確に把握すること、相場に基づいて適切な交渉希望額を設定すること、交渉の根拠を明確にすることです。

これらの準備が、相手に受け入れられやすい交渉内容を固めることにつながります

4-1. 現在の給与の内訳を正確に把握する

通常、給与交渉は年収または基本給で話し合われます。そのため、現在の「年収」と「基本給」について、正確な金額を述べられるようにしておく必要があります。

年収とは「各種手当を含めた総支給額で、税金などが控除される前の金額」のことで、源泉徴収票の「支払金額」という項目に記載されている金額です。

年収をおおまかに表すと、以下のようになります。

年収=(基本給×12ヶ月分)+賞与1年分+各種手当

ここで注意が必要なのは、年収には賞与や残業代などの手当が含まれていることです。これらの金額は企業の経営状態や残業時間によって変動するため、転職後にいくらもらえるかは未知数な部分があります。

そのため、転職時に企業側が示す年収は、「(基本給×12ヶ月分)+前年度実績に基づいて予測される賞与額1年分+現時点で支給が決まっている手当」というケースが多くなります。

この場合には、提示された金額に残業手当など勤務状況に応じた手当が上乗せされるため、「少なすぎる」と勘違いしないように気を付けましょう。また、賞与額は多少変動する可能性があることを頭に入れておく必要があります。

ただし、稀に「見込み残業代を含んだ年収を提示される」という場合もあるため、現在の収入について以下の内容を正確に把握しておき、企業から提示された給与額には何が含まれているのか確認することが大切です。

●年収(前年度の源泉徴収表の「支払金額」)

●基本給

●現職の時間外勤務手当の単価

●1ヶ月・1年間あたりの残業時間数

●前年度の賞与実績(何ヶ月分でいくらもらったか)

●各種手当の金額

4-2. 転職先の業界と企業における給与相場を調べる

自分の給与内容が明らかになったら、転職先の業界と応募する予定の企業における給与相場を調べましょう。

まずは、転職先と同じ業界で他の企業が出している求人・転職先の企業が出している複数のポジションでの求人について、情報収集します。求人誌・転職サイト・フリーペーパー・ハローワークなど、様々な媒体から求人情報を入手してください。また、転職エージェントに相談するのも効果的です。それぞれが扱っている求人情報が異なる場合が多いため、幅広くチェックすることが網羅的な情報を得ることにつながります。

できるだけ多くの求人情報を集めたら、自分の年齢やスキル・応募したい仕事内容に近い条件の求人における給与額を確認します。それらの平均値がその業界の給与相場だと考えましょう。また、転職先の企業が出している複数の求人情報からは、その企業が支払っている給与の幅がみえてきます。

この作業によって、転職先の業界とその企業における給与相場がわかるため、転職先が提示している給与額は妥当なのか・相場の範囲内で交渉するならいくら位までが現実的かということが判断できます。

また、現職が同業種である場合には、現在の給与が相場と比較して高いのか低いのかということもわかります。

現在の給与と転職先が提示している給与が相場と比較してどうなのかということを基に、給与交渉をすべきかどうか・するとすれば現状維持と増額のどちらを狙うのかということを検討しましょう。

4-3. 希望する給与の額を決める

給与相場を基に現状維持と増額のどちらを給与交渉の目標にするのかを決めたら、具体的な金額を設定します。

給与交渉において、いくらが妥当かということはケースバイケースなので、明確な金額を示すことはできません。

ですが、以下のポイントを押さえて金額を設定することで、交渉の成功率を上げることができます

●相場に合わせた金額にする

●希望ラインと最低ラインを設定し幅をもたせる

●「明確に説明できる自分の価値」の分を付加する

例えば、現職の年収が500万円だったとします。業界の相場が500~600万円であり、転職先の企業からは480万円を提示されている場合はどうしたらよいでしょうか。

転職先から提示された年収480万円に残業代が含まれていなければ、残業の程度にもよりますが結果的には年収500万円に達して現状維持できる可能性が高いと考えられます。

希望としては増額という場合には、相場の範囲内ということだと600万円までは交渉可能かもしれませんが、480万円を提示している企業が25%増の金額を支払うかどうかというと、少々難しいかもしれません。また、自分にそこまでの価値があるかどうか、つまりその金額分貢献できるかどうかということを自問する必要があります。

そこで、転職先の企業で求められている仕事内容について現職で既に十分な実績があり、教育的な役割も担えるとしたら、最低ラインが相場の下限である500万円・希望ラインが提示金額の10%増である530万円で交渉してみるというのも一案です。

4-4. 交渉の根拠となるデータを揃える

給与交渉の希望額を設定したら、その根拠を明確に示せるように準備しましょう。

給与交渉の根拠とは、「自分にはそれに見合うだけの価値がある」と示すことです。

そのため、「相場がこのくらいだから」「これだけ必要だから」ということだけでは根拠になりません。

入社後にどれだけ・どのように貢献できるのかということを伝えるために、キャリアの内容・役に立つスキル・これまでに上げた成果などを明確に説明する必要があります。

具体的な状況を説明できるように整理しておくことに加えて、実際の成果物を披露してもよいでしょう。

また、このときに大切なのは、転職先の企業にコミットした価値を示すことです。求められる役割や企業の理念などをよく確認し、それに沿う形でアピールしましょう。

転職に役立つスキルについて詳しく知りたい方は、「転職に役立つスキル年代別一覧!20代・30代・40代の必要スキルとは?」をご覧ください。

また、転職に有利な資格とは何かについて知りたい方は、「転職に有利な役立つ資格28選!業界・男女・年代別ランキング」が参考になります。

5.【STEP2】給与交渉のタイミングを決める

2つめのステップでは、給与交渉のタイミングとしていつが適切なのかを検討します。適切なタイミングで交渉することが、成功率を高めることにつながるためです。

給与交渉の適切なタイミングは、以下のようにケースによって異なります。

転職 給与 交渉

それぞれのケースについて、なぜそのタイミングが適切なのかについて解説していきましょう。

5-1. 給与交渉が決裂するなら入職しない場合は面接時

給与交渉が決裂し希望額の給与を得られないなら入職しない、つまり採用よりも希望額の実現を優先するという場合には、採用面接時に交渉しましょう

面接時に給与交渉し、その内容が企業の意に沿わないというときには、不採用になる可能性があります。

その一方で、内定前の段階では給与額が決定していないため、比較的大きな金額でも交渉によって変動させられる余地があります。

そのため、希望の給与額を得られる企業に転職したいという人には、面接時の交渉が適しているのです。

5-2. どちらにしても入職するが交渉したい場合は内定通知後

交渉の成否にかかわらず入職するつもりである、つまり希望額の給与を得ることよりも採用されることを優先したいという場合には、内定通知を受け取った後で受諾前に交渉しましょう

採用面接時に給与交渉をしなければ、そのことが理由で不採用になることはありません。

内定通知時には雇用条件が示されるため、給与額も一旦は決定した状態になります。ここから大幅に変動させるのは難しいというデメリットはありますが、受諾前であれば交渉の余地は残されています。

そのため、転職したい企業が決まっており、一か八か給与交渉をしたいという人には、内定通知後の交渉が適しているのです。

内定取り消しについて

一般に「内定」とは、求職者が企業から採用通知を受け取り、求職者が企業に入社承諾書を提出することによって相互に意思確認をした状態のことをいいます。そのため、内定によって労働契約が成立したとみなされます。

労働契約が成立した時点で、企業側から一方的にそれを取り消すことは解雇にあたるため、内定取り消しは求職者が就業不可能な状態になるなどの正当な理由がないと認められません。

一方で「内々定」とは、企業と求職者双方に労働契約を結ぶ意思はあっても、まだそれが成立していない状態のことを指します。労働契約が成立していなければ法的拘束力は生じないため、内々定であれば取り消しが可能です。

つまり、給与交渉のタイミングである「内定通知後受諾前」というのは、入社承諾書を提出していない段階であることから、「内々定」の状態にあたります。そのため、給与交渉の内容によっては取り消しされる可能性もゼロではありません

ただし、内々定であっても一方的な取り消しは企業イメージを損なうため、簡単に行われることはないと思っていて大丈夫です。

5-3. 転職エージェントに依頼する場合はお任せ

転職エージェントに転職活動をサポートしてもらっているという場合には、給与交渉のタイミングは担当者にお任せしましょう

転職エージェントは、企業の風土や採用担当者のキャラクターをよく知っており、それに応じてベストなタイミングを見極めた上で給与交渉を代行してくれます。

6.【STEP3】ケース別に正しく給与交渉を行う

【STEP3】ケース別に正しく給与交渉を行う

3つめのステップでは、それぞれのケースに適したタイミングで実際に給与交渉を行っていきます。

やりとりの仕方もどのタイミングで行うかによって異なるため、ケース別に正しい方法を解説していきましょう。

6-1.面接時に行う場合

不採用になっても構わないというこのケースでは、チャンスがあれば即給与交渉を開始するというスタンスでいきましょう。

6-1-1. 給与について質問されたタイミングで希望額を伝える

面接の中で、現在の年収や入職後の給与に関する希望を尋ねられた場合は、明確に自分の意思を伝えましょう。

ここで注意したいのは、希望額が叶わなければ不採用で構わないからといって、一方的に延々と主張してはいけないということです。

面接官が給与を決定する裁量をもっているケースは稀なため、面接の場で給与交渉の成否がわかることはありません。また、面接の場を用意してもらった以上、最後まで真摯に対応するのがマナーです。

そのため、聞かれた内容に答えるという形で不自然ではない程度に意思表示し、さらにやりとりが必要な場合には面接の最後で質問するようにしましょう。

<会話例>

(給与に関して何か希望はありますか?)

「はい、年収500万円程度を希望しております」

(前職での年収は450万円ということでしたが?)

「前職で~~の実績を積んでおりますので、今回の募集内容にあるような業務には比較的速やかに対応できると考えております。また、この業務における人材育成に貢献させていただくことも可能です。ご期待に添えると判断して頂けるようであれば、希望額についてご検討いただければ幸いです」

6-1-2. 面接の最後に給与について質問する

面接中に給与に関する質問がなかった場合には、最後に質問という形で交渉しましょう。

このときに、いきなり給与のことを聞くと面接官の心証を損なってしまい、その後のやりとりがスムーズにいかなくなるかもしれません。そのため、まずは企業の理念や仕事内容について質問してから給与交渉をするようにしましょう。

<会話例>

(何か質問はありますか?)

「はい、御社でキャリアアップしていくためには、どのようなスキルを重視していくとよいでしょうか?」

(~~や~~が大切ですね)

「わかりました。採用いただいた暁には、ご期待に沿えるよう精進いたします」

「もう一点、給与について質問させて頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」

(どのようなことですか?)

「給与の金額なのですが、年収500万円程度を希望しております。私の経歴とただいまの面接内容ですと、ご検討いただける可能性はありそうでしょうか?」

6-2.内定通知後に行う場合

給与交渉よりも採用されることを優先するというこのケースでは、内定をもらうまでは守りの姿勢を保ち、内定通知後直ちに交渉を開始するというスタンスでいきましょう。

6-2-1. 面接時に質問されたら応相談の姿勢でマイルドに伝える

内定通知後に給与交渉をしたいと考えていても、面接時に希望給与について質問されてしまうケースがあります。

その際には、希望給与は「大体このくらい」とマイルドに伝え、状況に応じて相談したいという姿勢を示します。

このときに注意したいのは、「希望よりも低い金額を伝える」「規定に従うと言う」のは絶対にしてはいけないということです。なぜなら、一旦「低い金額に納得した」とみなされると、それ以降は給与交渉の余地がなくなるからです。

<会話例>

(給与額の希望はありますか?)

「希望としては前職と同じ程度だとありがたいですが、状況に応じてご相談させていただければと考えております」

(年収ですが、450万円で問題ありませんか?)

「大切なことですので、少し考える時間をいただければと思います」

6-2-2. 内定後、受諾前に面談を依頼する

内定通知を受け取ったら、給与交渉のための面談を申し入れましょう。

まずは内定をもらったことへの感謝を述べ、受諾したいという意思はあることを伝えます。それに先立って、相談したいことがあるため機会を設けてもらいたいとお願いします。

このときに大切なのは、できるだけ対面でやりとりするということです。そうすることで、表情や間合いなどのニュアンスがよくわかるため、相手の雰囲気に合わせた無理のない給与交渉ができるためです。

やむなく電話やメールでの交渉になってしまうという場合には、一方的なお願いにならないよう、相手の反応をよく確認しながらあくまで相談という姿勢でやりとりしましょう。

<会話例>

(先日の先行の結果、ぜひ弊社に来ていただきたいとのご連絡です)

「どうもありがとうございます。お受けしたいと考えているのですが、それに先立ってご相談したいことがございます。御社にお邪魔する機会を設けていただくことは可能でしょうか?」

(どのようなご相談ですか?)

「労働条件の確認です。給与が年収450万円とのことですが、もう少々ご検討いただける可能性はありそうでしょうか?」

6-3.エージェントに任せる場合

転職エージェントに給与交渉を任せるというケースでは、自分で交渉することはありませんが、エージェントと交渉内容を共有しておくこと・その内容に沿って企業とやりとりすることが大切になります。

6-3-1. エージェントには最初の段階で希望額を伝える

転職エージェントに給与交渉を依頼する場合には、求人に応募する前に希望額を伝えましょう。

エージェントは業界の給与相場や各企業の給与交渉に対する反応などをよく知っています。また、求職者の市場価値を判断することにも慣れているため、希望額が妥当かどうかという段階から相談に乗ってもらえます。

そのため、最初の段階で希望額を伝えることで、給与交渉の成功率が高い転職活動ができるのです。

6-3-2. エージェントと同じ内容で企業とやりとりする

エージェントに依頼すると、給与交渉は本人不在のところでうまくやってもらえますが、面接などで直接給与に関する質問をされる場合もあります。

その際の返答では、エージェントと共有している交渉内容から逸脱しないように注意しましょう。

例えば、エージェントが年収アップの方向で調整しているのに、本人が「提示された金額で構わない」と言ってしまうと、企業側は混乱するばかりか、主張に一貫性がなく信頼できないと思われてしまうかもしれません。

7. 転職時の給与交渉を成功させるためのポイント

転職時の給与交渉を成功させるためには、ここまでに解説したステップを踏むことに加えて、以下のような点に注意することが大切です。

転職 給与 交渉

それぞれのポイントについて、具体的な内容を解説していきましょう。

7-1. 冷静にやりとりする

給与交渉をする際には、落ち着いて論理的に話すようにしましょう。

給与交渉は文字通り「交渉」であり、「話し合い」です。「お願い」や「説得」ではありません。お互いの意見をフラットに述べ合い、双方が納得できる落としどころを探していく必要があります。

そのためには、感情的になったり論点がずれることで交渉がうまくまとまらない、という事態を避ける必要があるのです。

7-2. 給与が最優先事項ではないという姿勢を示す

給与交渉のインパクトがあまりにも強いと、お金目当てだと受け止められ、仕事に対する意欲も疑われてしまう可能性があります。

給与交渉を成功させるために欠かせないのは「入社後貢献できるという価値の提示」ですから、ここを疑われてしまうと交渉の成功は望めないでしょう。

そのため、まずは転職先での仕事内容に魅力を感じ真摯に取り組むつもりでいるということをアピールした上で、付け加える形で給与交渉を行うことをおすすめします。

7-3. 交渉の根拠を具体的に説明する

給与交渉を成功させるためには、相手に「交渉内容は妥当である」と思わせるための根拠が不可欠です。

つまり、「これだけの給与を支払う価値がある」と判断されるために、その企業に対していかに貢献できるかを示す必要があるのです。

その際には、とにかくがんばるという意欲ではなく、これまでの実績やこれからの働き方について、具体的な情報を提供することが効果的です。

例えば「前職では○○というプロジェクトを完成させ、○○%の売上増につながった」、「○年間で○人の新人教育を手掛け、教育プログラムを作成した」、「自身で安定的な営業成績を上げるだけではなく、人材育成もできる」など、企業側があなたを迎え入れることによるメリットをイメージできるように伝えましょう。

7-4. 希望額には幅をもたせる

給与交渉の希望額には、ある程度の幅をもたせましょう。

給与額というのは多くの企業では「あらかじめ決まっているもの」であり、交渉によって変動させることは可能とはいえ、あまり自由度は高くないということが多々あります。

そのため、「500万円で」と金額指定するよりも、「500万円前後で」と交渉する方が、検討の余地があると思ってもらいやすいのです。

7-5. 交渉内容は一貫させる

給与交渉では、給与に関するやりとりが複数回発生する場合があります。例えば、面接が複数回あったり、面接で軽く話して内定後に改めて交渉する、などのケースです。

このような場合には、基本的に交渉内容を変更せず、同じ説明を繰り返しましょう。

そのときによって話の内容が違うということになると、企業側を混乱させて給与額が定まらない・信頼できない人物だと思われて交渉自体受け付けられないという事態に陥る可能性があります。

ただし、複数回のやりとりの中でお互いが合意の上で金額修正をしている、などのケースではこの限りではありません。

7-6. 採用試験は複数受ける

よい転職先をみつけるためだけではなく、給与交渉を成功させるという点でも複数の企業の採用試験を受けることは効果的です。

複数の企業に対して給与交渉を行うことで、希望額を受け入れてくれる企業が現れる確立が上がり、提示された給与額から自分の市場価値を正しく把握することができます。

また、「他社からは年収○○円を提示されている」ということを、交渉の根拠として付け加えることも可能になります。

8. 転職時の給与交渉におけるNG行動

給与交渉を成功させるためのポイントと同時に、NG行動も確認しておきましょう。

以下のような行動をとってしまうと、給与交渉に失敗する可能性があります。

転職 給与 交渉

それぞれの具体的な内容を解説していきましょう。

8-1. 相場や能力からかけ離れた金額を提示する

業界の給与相場からかけ離れた金額や、自分のスキルに見合わない金額を提示することはやめましょう。

現実的ではない金額を提示することで、状況を客観的に捉えられない人物だと思われ、給与交渉に取り合ってもらえないばかりか不採用になる可能性もあります。

8-2. 給与のことばかり質問する

給与交渉に必死になるあまり、給与のことばかりを話題にするのはやめましょう。

企業側に「この人を採用したい」と思われることが給与交渉のスタートですから、お金だけが目的で仕事への熱意が感じられないということになると、不採用判定され給与交渉のチャンスも与えられないということになりかねません。

8-3. 曖昧に答えたり企業任せにする

給与交渉をするつもりがないのであれば、給与に関しては規定に従うという姿勢で構いませんが、給与交渉を持ちかけているのに希望金額を問われて曖昧に返答したり企業任せにするのはやめましょう。

交渉したいという意思表示をするだけではなく、それに続いて希望額や根拠について明確に説明できることが、相手側に話をきいてみようと思わせることにつながります。

提案したのにその内容を説明できないとなれば、耳を傾ける価値がないと判断されてしまうかもしれません。

8-4. 一旦同意した金額を釣り上げる

給与の金額について、一旦受け入れたものをより増額しようとするのはやめましょう。

一度決定した給与額の変更は事務手続き上なかなか難しいということに加えて、話に一貫性がない・意地汚いというイメージをもたれる危険性があります。

同時に、納得できない金額を提示された際には、その場しのぎで同意してしまわないように注意しましょう。後から交渉しようとしても、結果的には金額の釣り上げになってしまいます。

8-5. 年収以外の要件を考慮しない

給与交渉にあたっては、年収以外の要件も十分に確認しましょう。

例えば、提示された時点での年収は希望より低くても、入職してから残業手当が上乗せされる・インセンティブ制度がある・昇給のタイミングが多いなど、収入増のポイントがあるために結果的に支給された年収額は希望通りになるということもあります。

そのため、年収だけに目を向けていると、よい採用条件を逃してしまうかもしれません。

9. 転職時の給与交渉に不安があるならエージェントに依頼しよう

ここまで解説してきたように、給与交渉を成功させるためには適切なタイミングや方法についてよく理解し、注意点を守りながら慎重に進める必要があります。それに加えて、失敗すると不採用になる可能性もゼロではありません。

これらのことを理解できたからこそ、自分で行うのは不安だと感じる方もいるのではないでしょうか。

そのような場合には、給与交渉を転職エージェントに依頼することをおすすめします。転職エージェントは給与交渉に慣れており、その企業の特性に合わせてうまく代行してくれるため、安心です。

以下に、おすすめの転職エージェントをご紹介します。まずは登録してみてはいかがでしょうか。

リクルートエージェント

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リクルートエージェントは、転職支援実績No.1の転職エージェントです。

業界最大級の非公開求人数を誇るため、希望に合った転職先をみつけられる可能性が高まります。

また、実績豊富なアドバイザーによるサポートが充実しており、給与交渉だけではなく提出書類の添削や面接対策などにも幅広く対応してもらえます。

doda

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dodaは、転職者満足度No.1を誇る転職エージェントです。

dodaでは求人数・バリエーションともに豊富に揃えているため、こだわり条件にマッチした転職先をみつけられる可能性が高まります。

また、30年間の転職支援実績があるため、ノウハウを熟知したアドバイザーにサポートしてもらえます。

マイナビエージェント

マイナビエージェント

マイナビエージェントは、若い世代に信頼されている転職エージェントです。

初めての転職でも安心できるように、アドバイザーが転職活動に関する疑問に一つひとつ丁寧に答えてくれます。

また、企業の人事担当者とやり取りするアドバイザーが在籍しているため、企業のリアルな情報を入手できたり、日頃の関係性を強みとした給与交渉をしてくれることが期待できます。

10. まとめ

転職時に給与交渉をすることは可能で、成功すれば企業側から最初に提示された金額よりも高い年収を得ることができます。

ただし、方法や注意点を理解した上で慎重に行わなければ、「結局は希望額が得られない」「転職先の心証が悪くなる」という失敗につながる危険性があります。

この記事では、給与交渉の正しいやり方として以下の3ステップを解説しました。

転職 給与 交渉

まずは給与交渉の準備として、現在の給与の内訳や交渉で希望する金額、交渉の根拠にできることなどを明らかにし、次に、下図に基づいていつ給与交渉をするかというタイミングを決めます。

転職 給与 交渉

そして、決めたタイミングで切り出し方・伝え方に配慮しながら給与交渉を行うという流れになります。

さらに、以下についても解説しました。

◎転職時の給与交渉を成功させるためのポイント

  • 冷静にやりとりする
  • 給与が最優先事項ではないという姿勢を示す
  • 交渉の根拠を具体的に説明する
  • 希望額には幅をもたせる
  • 交渉内容は一貫させる
  • 採用試験は複数受ける

◎転職時の給与交渉におけるNG行動

  • 相場や能力からかけ離れた金額を提示する
  • 給与のことばかり質問する
  • 曖昧に答えたり企業任せにする
  • 一旦同意した金額を釣り上げる
  • 年収以外の要件を考慮しない

転職時の給与交渉に不安があるという人は、エージェントに依頼することをおすすめします。転職エージェントは給与交渉に慣れており、その企業の特性に合わせてうまく代行してくれます。

多くの場合、転職は人生でとても大きなイベントだといえます。そして、転職において給与は重要な要件です。そのため、叶えたいことがあるのであれば後悔しないように行動したいものです。

転職時の給与交渉についてベストな判断をするために、本記事がお役に立てることを願います。

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キャリアアップとは?

よりよいキャリアアップを目指して先々の計画を立てることをキャリアデザインと言います。
どのようなキャリアを積み、自分の人生に役立てていくかを、常日頃からイメージしておくとよいでしょう。
もちろん、無理してキャリアアップなどせずに平坦に暮らしていたいというのも、ひとつの考え方です。

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